(don't get any) Big Ideas

音楽周りのあれこれかれこれ

考察と和訳 Creep / Radiohead

 

 

www.youtube.com

 

君といた頃
目も合わせられなかった
君は天使のよう
その肌には涙が出るよ
美しい世界を羽のように舞う君
僕は特別でありたかった
君は本当に特別な人だ

でも僕は嫌な奴
周りと違った変な奴
こんなところで何をしているんだ
ここは僕の居場所じゃないのに

傷ついたって構わない
自分をコントロールしたい
完全な身体が欲しい
完全な魂が欲しい
気づいてほしい 僕がいないときでも
君は本当に特別な人だ
僕もそうありたかった

でも僕は嫌な奴
周りと違った変な奴
こんなところで何をしているんだ
ここは僕の居場所じゃないのに

彼女は再び僕の元を去っていってしまう

何が君に幸せをもたらし
君が何を望もうとも
君は本当に特別な人だ
僕もそうありたかった

でも僕は嫌な奴
周りと違った変な奴
こんなところで何をしているんだ
ここは僕の居場所じゃないのに

 

歌詞全文

 

はっきり言ってこの曲に自己投影なんかしてる奴はゴミ野郎だ。ただの陰キャラの被害妄想じゃねえか。

目すら合わせられないくせに、歯が浮くような言葉で特別特別とわめきたてたって一生伝わんねえよ。伝える度胸もないんだろうけど。

嫌な奴?そうだろうよ。お前が1番分かってるだろ。お前は不幸を嘆いてそんな自分がかわいそうかわいそうなんてやってる嫌な奴だよ。

ろくに傷ついたこともないくせになりたいなりたいばっかのワナビーちゃん。実際お前は何をしてきたんだよ。相も変わらず「君は特別」。そこいらにしとけよ。

はいはい嫌な奴嫌な奴。それに気づいてるだけマシってか?無理言うなよ。

去ってしまう?当たり前だろ。そもそもろくに接してもいないくせに去るもくそもあるかよ。

はいはい。お前は最低の人間だし、特別な「君」とは一生交わることはない。かわいそうな奴だな。なぐさめてほしい?ん?

 

まあこんな風にただのクズの歌だ。どうしようもない。


ただ、この曲に世界で1番自己投影しているのは僕だ。書いてて泣けてきたんだよ。そしてあなたもそう思っているだろう。「自分以上にこの曲に思い入れがある人間はいない」って。

この曲が今現在も特別な響きを持っている理由はまさにここにあると思う。誰しもが抱えている弱さ、醜い部分、そんなものはそうそう人に見せられない。普段はひた隠しにしている。たとえ心底信頼できる人がいたとしても完全に曝け出すのは困難だし、ましてや孤独を感じている人間なら尚更だ。

でもこの曲を聴くと否応なくそんな自分と向き合わされてしまう。そこで生まれてくる感情はもしかしたらこの曲で歌われているようなくだらない自己憐憫の上塗りかもしれないが、こんなにもダイレクトに届く言葉は彼らのレパートリーにも他にはない。

あんなにヒットした曲なのに彼ら自身あまり歌わないのは、ヒットしすぎたから〜とか今の音楽性とは〜とかではなく、こんな理由もあるんだろう。演奏している自分に対して「なんだこのクソ野郎は?」なんて思いたくもない。彼らも僕と、僕らと何も変わりはしないのだろう。

 

話は変わるがNIRVANAの"Smells Like Teen Spirit"やBECKの"Loser"と並んで90年代の(自虐的)名曲と言われているこの曲。"Smells〜"がダウナーで怒りにも似た雰囲気があったり、"Loser"が諦めにも似たやけっぱちな感じがあったりするのに対し、この曲はどこまでもエモーショナル。トムの悲痛なボーカル、美しくも物悲しいメロディ、感情をかき乱すジョニーの轟音ギター(ガガッ!ガガッ!)がこの歌詞と一体になって襲いかかってくる感覚はいまだ唯一無二だ。現在も世界最大級のバンドであるRADIOHEADだが、この曲を歌ったバンドが世界最大級になったのが凄いのか、世界最大級のバンドがこの曲を歌うのが凄いのかはわからないが、そういった点もこの曲の特別性を高めているのだと思う。

 

自分自身のことが100%好きな人にはこの曲は響かないだろう。でもそんな人間いるだろうか? もしかしたらある日響かなくなるかもしれない。でも、僕らが苦々しく難しい(故に素晴らしいとも言えるが)日々の営みを続けている限り、この曲は僕らのアンセムとして響き続けるだろう。

 

繰り返し書くが、この曲に自己投影している人はただのゴミ野郎だ。でもそれはそこらにいる普通の人間だ。

 

好き嫌い?良し悪し? 〜音楽を聴くこと語ること〜

先日こんなツイートをした。

 

これは音楽の話に限らず、文学でも映画でも美術でもラーメンでもいいのだが、1番わかりやすい音楽の例で。例えばこんな会話をしたことはないだろうか。

例1)

あなた「○○はこういう点が良いんだよ」

Aさん「でも私好きじゃないし。好みは人それぞれだよね」

例2)

あなた「流行りの△△たいしたことないよな」

Bさん「でも好きな人は好きなんだろうよ。好みは人それぞれだよね」

 

知るかよ。そんな当たり前のことはどうでもいいんじゃ。僕は良し悪しについての議論がしたいんじゃ。

まあ僕がかなりお喋り好きなせいもあるだろうが、こんな風に「それは好みの問題だろ」で会話がストップしてしまった経験はないだろうか。

端的に言って僕はこうなっちゃう人とはあまり音楽の話をしたくない(実際に僕とこういう会話した人も読んでると思うけど、弁解やら反省やらもあるので最後まで読んでね)。さらに言えば、こういう場で「好みの問題」とか言い出すのは、議論できない人の逃げの方便だろとすら思っていた。

 

しかしそんな時にあるフォロワーさんのブログを読んだ。ここで取り上げられているのは前述の僕のツイート。

himoderation.hateblo.jp

 

これを読んだ僕は目から鱗が落ちる思いだった。

前提を結論と取り違えている。

本当にこの一言に尽きる。他でもない僕が前提を結論と取り違えていた(というより「好みの問題」派は「好みの問題」を結論として言っているのだと思い込んでいた)。

 

■「好みの問題」

気づいてしまえば当たり前のことだった。音楽を聴く時に「好みで聴く」は一番プリミティブで自然な方法だ。例えば評論なんかの評価を受けて、あるいはそれに反して「ここが良いここが悪い」なんて聴き方をする方がよっぽど不自然で邪道ともいえる。こんなのは当たり前だ。

ただ僕からしたら(あくまで僕からしたら)、前述のAさんBさんもここを大きく取り違えているように見える。僕からしたら「好みの問題でしかないんだから良し悪しについて議論しても無駄だよ」といったような感じに映っていた。 でも「好みの問題」であることは前提であり、それでも(無駄に終わるかもしれないが)それを超えた議論をしたいというのが僕のスタンスであった。僕も知らないうちに結論付け合戦に巻き込まれてしまっていたようだ。

というか何も結論を出したいわけではない。良し悪し白黒つけたいと言っているわけではない。そんなのは無理だ。良し悪しなんてのは「ある角度から見て良い、ある角度から見たら悪い、まあ総合的に言ってこれくらい」みたいなもので個々人によってその良い悪いの配分が違うし、時代によってもひっくり返る。絶対はない。

でも音楽をはじめとした様々な表現には"語らせる作用"があると思っている。こんなにも各種の批評が存在するのはなぜか。僕みたいなブロガーが星の数ほどいるのはなぜか。"語らせる作用"があるからだ。そして音楽についてあーでもないこーでもないと答えのない議論をすることは素晴らしいことだ。話すことで自分でも全く気付いていなかった点に気付いたりもする。議論自体は答えの出ない不毛なものかもしれないが、この行為は決して無駄じゃない。人間の営みである以上、語ることまで内包した上での表現と言ってもいいかもしれない。語り合うことは本当に素晴らしい。

そこで話は戻るが「好みの問題だろ」と言われると話が終わってしまう。高名な評論家でもこの観点から切り崩すのは無理だろう。本当に話が終わってしまう。無駄と思うかもしれないが、くだらなくも素晴らしい語り合いをしようではないか!

 

さて、上記の話をまとめると以下のように分類できると思う。

1.「好みの問題」が前提であることを認識せず、語らない人。

2.「好みの問題」が前提であることを認識せず、語る人。

3.「好みの問題」が前提であることを認識した上で、語らない人。

4.「好みの問題」が前提であることを認識した上で、語る人。

 

僕が上記のツイートで問題にしていたのは1だ。ただ今までの僕は2だった。そりゃあ噛み合うわけがない。僕「これはいいもんだよ。もっと色々聴けばわかるよ」 Cさん「えー…」みたいなトンチンカンなことが起こる。こりゃあ悲惨だ。おおいに反省している。ごめんよCさん。

3はいまいちイメージできないが、静観するのもまあスタンスとしてはいいと思う。僕からしたらもったいないとは思うが、各種の表現がある中で音楽に突っ込みすぎてる僕がそう思うだけで、みんなそんなに暇じゃない。

そして僕は4でありたい。くだらなくも楽しい、無意味に思えるけど有意義な、そんな語り合いがしたい。したいのです。

 ついでに言うと絶対的な「良し悪し」ってのは僕はあると思う。というかそう思いたい。そう信じたい。それはプラトンイデアみたいな、あるんだかないんだかわからない朧げなものかもしれないが、僕のような人種は聴くにせよ観るにせよ作るにせよ、それを求めてやっているのだから、あらゆる表現においてそれはあってほしい。「絶対ねーよ」は少し寂しい。

 

■嫌いで終わらすのはちょっともったいない

ここで終わってもいいのだが少し発展させた話。「好き」には個人によっていろんな理由があると思う。とっても深い理由だったり、すごくしょーもない理由だったり。そういう話をするのもきっと楽しいけど、それはまあここではなんでもいい。問題は「嫌い」の方だ。

思うに確たる理由をもって「嫌い」と言っている人はあまりいないのではないか。もちろんよく精通したジャンルで明らかに好みに合わないものというのもあるだろうが、全く通っていないジャンルの場合それは顕著だ。見ず知らずのジャンルを嫌う(嫌うとまでは言わなくても聴かない)のは、多くの場合は「合わないから」、なぜ合わないかといったら「そのジャンルの形式や作法が全くわからないのでどういったとっかかりで聴いていいのかわからないから(これは田中宗一郎氏も似たようなことを言っていた、というかそこからの拝借)」ではないか。いや、それでも悪いとは言わないが、もったいないのではないか。

だから自分の中で「嫌い」でストップしている音楽・ジャンルがあったら見直してほしい。きっと新たな道が拓けるはずだ。僕なんかも未だによくわからないジャンルは多いが、最近はたまたまライブで観てちょーかっこよかったHIPHOP(今までほとんど聴いてこなかった)なんかを聴いている。こんなきっかけでもいい。

ちなみに門外漢のジャンルに入っていくオススメの方法は3つ。

1.ライブに行くこと。

これが一番手っ取り早い。「クラシックのコンサートに行く」でも「生演奏のジャズバーに行ってみる」でもいい。名盤5枚借りてくるでもいいが、クラシックやジャズなんかは今まで何かしらの機会で耳にしているはずだ。それで直感的に選ばなかったのだから名盤聴くよりライブに行けと言いたい。なぜライブがいいか。まず迫力が違い過ぎる。僕なんかは初めてオーケストラを観たとき「今まで認識してたクラシックとは何だったのか」くらいの衝撃を受けたものだ。そして、周りの観衆を見ていれば楽しみ方の作法が自然とわかるというのも大きい。どこで盛り上がってどこでどこで静かに聴きいるのかが手に取るようにわかる。それがわかってくると非常に面白い。だからライブに行こう!

2.同じ音楽が好きな人にオススメを教えてもらうこと。

だから語り合えと言ってるんだ。広がりができるしその友人はよりかけがえのない人になる。いいことしかないじゃないか。それから感想とかをあーでもないこーでもないと言い合ったり、じゃあこれもオススメとか言い合ってるうちに同じ墓場にでも入ってしまえばいいんだ。ただ、やはり趣向はそれぞれ違うため微妙にズレが生じるのと(そのズレはむしろ楽しむ要素とも捉えられるが)、「人が熱心に勧めてくるといまいちちゃんと聴けない」謎アレルギーを発症することがあるのがたまにキズ。あれ何なんだろうね。

3.好きなミュージシャンのルーツを探ること。

アジカンが好きなバンドにアジカンのルーツであるOasisは聴かないのかと聞いたところ、「いやアジカンだけです」みたいに返ってきたという話を聞いたことがあるが、ルーツ探りは意外と浸透していないのかもしれない。これはすごくもったいないぞ。例えばこのブログでほぼ毎回登場するRADIOHEADはロック、パンク、ダブ、レゲエ、ボサノヴァ、ジャズ、クラシック、エレクトロニカ…と多種多様なルーツを消化した音楽をやっている(それがすごいんだがその話はまた今度)。インタビューを見たり、有名なバンドなら解説本やバイオ本なんかを読めば幾つかの音楽がヒットするはずだ。それは「好きな人が好きなもの」という贔屓目もあってとても入りやすいし、その大好きなバンドへの理解もより一層深まる。悪いことなんかないぞ。さあ、やるんだ!

 こんな感じで「嫌い」で見過ごさずに色々と触れていってほしい。絶対に新たな発見があるよ。

 

■終わりに

話が大きくそれたが、各人の「好き嫌い」を尊重しつつあーでもないこーでもないと語り合っていこうという話でした。やっぱり音楽はそれそのものの素晴らしさは当然だが、語り合えるということが素晴らしい。「好きなジャケは?」「かっこいいと思うバンド名は?」なんて話題でも一晩語り明かせる。最高にくだらないけど最高に素晴らしい、そんな音楽の語らい、みんなもどう?

考察と和訳 True Love Waits / Radiohead

新作に入ってたのが最も衝撃的だった"True Love Waits"。今回はその再掲記事です。

新作の雰囲気に合ってるのはあのかたちですが、やっぱトムの弾き語りver.もいいですよね!

 

youtu.be

 

僕は信念を曲げてでも
君との子どもがほしい
君の姪のように着飾って
君の腫れあがった足を洗うよ

ああ どこにもいかないで
どこにもいかないで

僕は日々の暮らしを営んでるんじゃなくて ただただ時間を潰しているだけなんだ
君の小さな手 夢中になった子猫みたいな笑顔

ああ どこにもいかないで
どこにもいかないで

本当の愛は
幽霊の出る屋根裏部屋にある
本当の愛は
ぺろぺろキャンディーやポテトチップスの中にある

ああ どこにもいかないで
どこにもいかないで

 

歌詞全文

 

drown:水浸しにする
niece:姪
swollen:ふくれた、腫れあがった
tiny:小さな
kitten:子猫
haunted:何かにつかれた、幽霊の出る
attic:屋根裏、屋根裏部屋
lollipop:ぺろぺろキャンディー
crisp:ポテトチップス

 

2001年のライブアルバム『I Might Be Wrong Live Recordings』より。公式に録音された音源はなく、ライブでたまにアコースティックバージョンが披露される曲です(2016年『A Moon Shaped Pool』に収録)。

Radiohead流の『結婚しようよ』なのかな。正直『Kid A』以降の彼らからこんなにもパーソナルで淀みのない歌が飛び出してくるのは驚きなのですが、何か超越的なことを言ってそうにも聴こえる彼らの人間味が感じられる名曲です。

結婚したことのない僕が結婚に言及するのは笑い話なのですが、僕なりの解釈で。

僕はなかなか神経質で頑固な人間で信条みたいなものもあるんです。でも君と一緒になって子どもを授かるためならば、その信条を多少なりとも曲げる覚悟です(drown、捨てるとまでは言っていないのがポイントですかね)。赤ちゃんが怖がらないような格好もしましょう(dress like your niece)。君が疲れたら癒します(swollen foot)。

話は飛ぶのですが、僕は少し勘違いしていて、結婚するためには何か諦めなければいけないものだと思っていました。ただ、近頃友達と話している中で思うことがあって、「何かを諦めたことを示してしまうと相手に重荷を背負わせてしまうことになる」ってことを思いました。だから、この曲も相手に言うのではなく、内なる覚悟みたいなものなんだと思います。そして"swollen foot"なんですが、この言葉は「水膨れした」みたいな意味もあるんですね。これは言わないまでも自分の信条をdrownした僕と同様に、自分の信条をswollenさせた君もいて、お互い言わないまでもそのことをわかっていて受け入れ支え合おうみたいな感じなのかと思います。

この曲の大切なポイントが"I'm not living〜"のくだり。日々の生活に何かしらのやりがいを感じて、充実して生きているんですが、君との生活を前にするとそんなことまったく無価値に思えてしまう、そんな微妙な心境の話だと思います。君は無邪気な気持ちを持った素敵な人(crazy-kitten smile)です。そんな君と一緒になることが何にも代え難い喜びだって思える。そんな心境。

そして、本当の愛とは。幽霊の出る屋根裏部屋ってなんか実感わかないですが、洋画でよくある子ども達が親に隠れて遊んでたりするあれのことだと思います。キャンディーとポテトチップスは言わずもがな。小さな子ども達が楽しそうにしている姿を心底愛しいと思える、それが本当の愛なのかなって。

こんなん書くの恥ずかしいわ。

結局のところRadioheadが世界最高のバンドであり続けているのは、何も難しいことばかり言ってるんじゃなくて、こういう多くの人の心にすっと入ってくるメッセージがあるからだと思うんです。よかったらぜひ。

RADIOHEAD@Lollapalooza Berlin のセットリストを見て思ったこと

先日9/11はドイツのベルリンでロラパルーザに出演したRADIOHEAD。このセトリがすごく豪華なので少し引っ張り出して考察。

 

とりあえずそのセトリ。

f:id:dontpanic:20160912093411j:image

(Twitter @Radiohead_infoより)

 

 いやはや、ドイツでは現状1公演のみなので当たり前といえば当たり前ですが、サマソニ大阪東京のいいとこ取りという感じです。"Paranoid Android"もやってる。"Everything In Its Right Place""Idioteque""Bodysnatchers"からの本編最後に"Street Spirit"というのも凄い。ここ大盛り上がりだったでしょうね。

 

さて、 サマソニとの比較も含めて今回気になったことは大きく3点。まず、"Airbag"や"Exit Music"をやっていないこと。次に"The National Anthem"をやっていないこと。そして"Creep"が再びセトリに記載されないシークレット曲となっていたこと。

 まずサマソニ大阪東京両会場でやった"Airbag"と大阪公演でやった"Exit Music"なのですが、これは現状全22公演の『A Moon Shaped Pool』ツアーで"Airbag"5回、"Exit Music"7回と非常にレアなものとなっています。"Creep"や"Let Down"(8回)よりもレアです。いやー、後述しますがこれは日本を特別に思ってくれた選曲だと思うので、今更ながら感激です。ちなみに"Feral"も5回で今ツアーでは相当にレアです。大阪で観ることができた人は本当によかったですね!

しかし驚きなのが"The National Anthem"をやらない公演があるということ。今調べてびっくりしたのですが、22公演中10回しかやってない。"Paranoid Android"(15回)の方がよっぽどやっています。"The National Anthem"といったら強烈なステージライティングとコリンのベースを中心としたグルーヴが印象に残る、サマソニのハイライトといってもいい曲です。おそらく今までやった10公演全てでそういっていいであろう最強の切り札みたいな曲です。それをやらない公演があるなんて。「どんだけ贅沢なバンドなんだRADIOHEAD…」と改めて感服いたしました。しっかし大阪東京両公演で観ることができたのは、実はかなり貴重な体験だったのだなあ。

そして一番気になったことは"Creep"がセトリに記載されない曲に戻っていたこと。

 f:id:dontpanic:20160912120319j:image

(setlist.fmより。@Lollapalooza Berlin)f:id:dontpanic:20160912120332j:image

(@Summer Sonic 東京)

 

サマソニ東京で"Creep"がセトリに記載されたことは話題になっていましたが、これは今後のスタンダードなのかな?と思っていました。でもどうも東京限定だったようですね。これは「日本だしクリープでいいやろ!クリープ!」みたいな邪推もできますが「せっかく東京でやるんだから13年前最高だったクリープをやろう!」みたいな好意的なものだと受け取っておきましょう。いやー、やっぱ特別に思ってくれているんだなあ。

ちなみに探してる中で気になったのが次の記述。

 f:id:dontpanic:20160912120352j:image(@NOS Alive! ポルトガル)

 "Million Dollar Question"(1stのボーナストラック)って。そんなんやったら興奮通り越して「何やってんだ…」ってなりますわ…

 

それにしてもツアー中固定のセットリストにせず、各国のオーディエンスに合わせたり、よかった悪かったを自己分析しながら試行錯誤を繰り返すRADIOHEADは本当に凄いなと改めて感じますね。これこそアーティストの姿なのではないでしょうか。また会う機会が本当に楽しみになってきました!

 

それはそうとトムが「来年もライブするかも」って言ってましたね。よく考えたら前回のサマソニの翌年も単独公演をしていたので、日本に来るのも普通にあり得ることですよね!やっぱフェスもいいけど単独公演!これは俄然期待が高まりますね!またその時に会いましょう!

 

さてさてツアーセトリの考察をしてきましたがいかがだったでしょうか。サマソニ前まではザーッと見てただけでしたが、リアルタイムで考察するのも楽しいですね。残すは来月のメキシコ公演かな?その時もなんか書こうと思うのでお楽しみに!

今回たくさん引用しましたがsetlist.fmでセトリ見たり統計情報調べたりするの凄く楽しいし理解も深まるかと思います。興味のある方は是非やってみてください。

以上setlist.fmステマ記事でした!では!

 

 

考察と和訳 There There. (The Boney King of Nowhere.) / Radiohead

過去に書いたものの再掲でもしようかと。

今回はThere There / Radioheadの和訳と考察。

月末あたりにiPod Touchを買ってApple Music始める予定なので、その時またそれに関して書くかと思います。では。

 

 

youtu.be

真っ暗闇の中 君の風景に向かって歩いていく
ちょうど今木の枝に足を取られたよ

感じるからといってそこに在るとは限らない

感じるからといってそこに在るとは限らない

君を破滅に導く警告音で辺りはいっぱいだ
(近づくなよ 近づくなよ)
そんなものに近づいてはいけない 僕らも歩く災害になってしまうかもしれない
(近づくなよ 近づくなよ)
感じるからといってそこに在るとは限らない
(誰か肩に乗ってるぞ)
感じるからといってそこに在るとは限らない
(誰か肩に乗ってるぞ)

まあまあ…

どうしてそんなに青ざめていて
寂しそうなの
君は天から僕への
贈り物なのに

僕らは災い
今にも起こりそうだ
僕らは災い
今にも起こりそうだ

 

 

単語
pitch dark:真っ暗闇
landscape:風景、景色
branch:枝
trip:つまづかせる
as I speak:(even as we speakで)ちょうど今私たちが話している間に
この場合独り言を言いながら歩いているんでしょうか
just because... doesn't mean〜:...だからといって〜とは限らない
洋楽で慣用表現覚えるとスムーズだし記憶に残りやすいのでオススメです。
shipwreck:難破、難破船
reach out:手を伸ばす、手を差し出す
there, there:まあまあ、よしよし(慰めの言葉)

 

元の英詞

 

2003年の『Hail To The Thief』から。
この曲はかなり歌詞の内容に沿ったミュージックビデオなので、観ながら聴くとわかりやすいです。

「感じるからといってそこに在るとは限らない」が印象的なんですが、これってつまり「見たり聞いたりしただけの情報は本質を突いているとは限らない」っていう情報社会への警鐘なんだと僕は捉えています。

今の時代は、この曲が発表された2003年よりはるかに情報へのアクセスが容易になりました。TwitterなどのSNSが発展し、自分から発することも容易になりました。だからこそ今一度この曲のメッセージに立ち返ってみましょう。

ネットを見ていると、気分を害するニュースや"これはおかしい"という論調に溢れています(siren)。また、それらに対する誰かの考え方に納得がいかないこともあります。それらはそれ自体として悪いものとは限らないのですが、もしそういった情報を一面的になぞって自分のものになった気がして、それで発信を行おうものなら、僕らも簡単に他人を傷つけてしまうおそれがあります(walking disaster, accident)。

そうならないためにも、簡単に鵜呑みにしないこと、或いは最初から信用できないものには近づかないこと(don't reach out, stay away from〜)が必要です。

あらゆる情報が簡単に手に入りすぎるがゆえに、僕らは感化されて気難しい顔をしてしまうことがあります(green & lonely)。でも、あなたが本当はそんなに気難しい人じゃないことは直接会って知っている僕にはわかるんです(heaven sent you to me)。会ったことのないあなたもきっと暖かい人なんだと思います。ただ、みんな情報社会に毒されてしまっているだけなのかもしれません。冷静に想像を働かせて、感情的にならずにみんなを思いやれたらなあと思います。僕自身そこらへん弱いので。

今一度この曲のメッセージに耳を傾けてみてはどうでしょうか。よかったらぜひ。

RADIOHEAD@Summer Sonic 2016 大阪 東京(8/20,21)

遅ればせながらSummer Sonic 2016 大阪 東京(8/20,21)のRADIOHEADの感想をまとめてみようかと。

結論から言ってしまうと今回のライブはとにかく凄まじかった。他の方が口々に「細かいことを挙げるまでもなくただただ圧巻のパフォーマンスだった」と言っているのを目にしたけど、まったくもってその通り。僕も分析的に色々考えるのは蛇足だろうなと思ってはいるけど、やはり観た人の想像力を刺激し色々な感情を喚起させるのがRADIOHEAD。うまい具合にまとめるのは他の方に任せるとして、今回は色々と突っ込んで書いてみる。長いよ。ごめんよ。

 

 ◼︎『A Moon Shaped Pool』ってどういう作品?

前置きをもう少し。4年振りの来日、13年振りのサマソニというのもあって「あの曲やるのかな!」みたいな盛り上がり方が目立っていたけど、忘れてはならないのがこのライブは5月にリリースされた最新作『A Moon Shaped Pool』のツアーであること。そして、形式上はそう名乗りつつも最新作はほどほどに過去のヒットメドレーをするバンドとは違い、彼らのセットリストは最新作が核となったものであること。これはサマソニ前までのツアーセトリを見てもわかる。

さてさて『A Moon Shaped Pool』はどういうアルバムだったのか。正直に告白してしまうと、僕個人としては幾分か予習不足だったのもあって「アンビエントで美しい、でもいまいち捉えどころのないアルバム」という印象でした。ただ、『Kid A』しかり『In Rainbows』しかり、彼らの音楽はスタジオ音源とライブが揃ってこそ真価を発揮するもの。どんな変化があるだろうかとわくわくしながら当日を迎えました。

 

◼︎8/20 大阪編〜現在進行形のRADIOHEAD

はやく本編入れよという声が聞こえてきそうですがいよいよ本編。8/20大阪舞洲会場オーシャンステージ。時刻は19:15頃。サウンドチェックが押していたのもあり、各所で「まだか!まだなのか!」と言わんばかりの声が湧き上がり、異様な緊張感が漂う中ついにRADIOHEADが登場!

緊張感そのままになだれ込むように始まったのは"Burn The Witch"。『A Moon Shaped Pool』のオープニングトラックです。この曲の大胆なストリングスアレンジがバンド編成だとどうなるのか?というのは誰もが注目する所なのですが、そこは流石のRADIOHEAD。ギターギャンギャンに決めてきました。浮遊感のある入りから、BメロのSing a song on the jukebox that goes(ここ合唱にならないのちょっと不思議)で鳴り響くギター、そしてBurrrrrrn the wiiiiiiiiiiitchで一気に緊張感がパーンと弾けた時の鼓動の高鳴りといったら。改めて彼らは緻密な作品づくりが凄いだけではない、生粋のライブバンドなのだと確信しました。

ここから"Ful Stop"までの5曲は『A Moon Shaped Pool』から。この曲順は今ツアーを通してほぼすべてそうなのですが、彼らの「どうだ!これが最新の俺達だ!ついてこれるか!」とでも言わんばかりの気迫が感じられました。おそらく今作を聴いて「あんまロックじゃねえな」と感じていた人は多いことでしょう。しかし音源ではなりを潜めていたグルーヴ感や曲全体のダイナミズムが存分に発揮された演奏を観て、「これが現在進行形の彼らのロックか!」とゾクゾクしました。

新作から存分に披露した後(Ful Stopで切るのは洒落なのかなんなのか)は"2+2=5"。あの怪しげなイントロから徐々に高まっていく熱気がBecause!!で弾ける。You have not been paying attention! paying attention! paying attention! ジリジリ高めてパーンと爆発するのは"Creep"から続く彼らの技ですが、それが一番端的に示されているのがこの曲でしょう。会場の熱気は急上昇!

そしてまさかまさかの"Airbag"。いやイントロカッコよすぎだろ。かつて時代を貫いた重厚なギターアンサンブルは今現在もなお鳴り響いています。おお、これがRADIOHEADだ。続いて"Reckoner"。"No Surprises"や"Let Down"のような美メロが光る曲ですが、今までのリズム的冒険を踏まえたビートが核となる曲です。こういう曲にノれるというのも変ですが何ともノれる。美しい曲の流れが続く中で満を持して"Pyramid Song"。この曲はあえて何かを言う必要もないでしょう。ただただ美しい。全体を貫く一見不規則なリズムピアノから醸し出される荘厳な雰囲気が会場を包む。ああ、美しい。

今回の一番の驚きは"Bloom"をはじめとする前作『The King Of Limbs』からの曲の変貌具合。おそらく彼らのキャリアで一番とっつきづらくてよくわからんアルバムなのですが、ライブでの爆発力、大化け具合は『Kid A』並みかそれ以上。彼らも前回のツアーを経て完全に身体に馴染んだのか、これでもかと叩きつけてくる音、音、音。なんだよあのジョニーのドラム。

流れはそのままに再び『A Moon Shaped Pool』から"Identikit""The Numbers"。音源で聴いていた限り抑揚があまりないノッペリした曲が多い印象だったのですが、やはりライブで観るとジリジリ盛り上げていくダイナミズムがよく感じられます。ジョニーのギターが入るところの「満を持して来た」って感じの重みが単純なオルタナロック的「静→動」の構成とも違っていて面白い。

そして再び『The King Of Limbs』から"Feral"。音源ではそれほど意識しなかったことですが、本作のリズムは複雑過ぎる。意味がわからない。ノろうとしたら逆にノれないわけわからんビートを刻んでいます。しかしながらその複雑怪奇なビートに身体を委ねていると不思議と身体が動く。本当に意味がわからない。リズムの怪奇さといったら次の"Arppegi/Wired Fishes"も引けを取らない。何種類ものパターンの違うアルペジオから浮かび上がってくるビート。こんなビートの刻み方あるんかよ。

そして今回のハイライトと言ってもいい"Everything In Its Right Place"からの"Idioteque"。"Everything〜"といえば『Kid A』以降のRADIOHEADのライブにおいて最も重要な曲。かつては10分近い時間をかけて会場を染め上げていた彼らの真骨頂と言ってもいい曲なのですが、今回は強引にも"Idioteque"への助走として使うという贅沢さ!ジリジリと高められてきた温度が"Idioteque"へと昇華された時のある意味爽やかな気分は忘れられない。それからは彼らのお家芸に身を任せるだけ。

興奮冷めやらぬ中本編の締めは"There There"。いや、このタイミングでステージ前方にタムが用意された時点で多分そうなんだろなとは思ったのだけど、やっぱこの曲はゾクゾクします。『Kid A』『Amnesiac』を経てロックへの回帰を鳴らした曲(この曲のリフが超カッコいいのは意外と話題にならない)だけど、それでも「単純に回帰なんてするかよ」というダイナミックな曲。ドラムのフィルを中心に全体でリズムを刻む様は壮観です。最高の流れですね。

 

本編が終わってひと段落。しばらくして再登場したトムはアコギを持っていたので「このタイミングでアコギってなんだ?」と少し困惑していた中で始まったのは"Exit Music"。ここでこれかよ。なんてものを持ってくるんだ。しめやかに始まったアンコールですが、この曲が内包している熱量は彼らの楽曲の中でも随一。この流れはニクイぞRADIOHEAD

会場が張り詰めたエモーションに包まれたところであのキレのいいイントロが鳴り響く。"Bodysnatchers"だ。この曲もリフがカッコいい曲(というかよく弾きながら歌えんな)だけど、"There There"同様単純なギターロックとは言いがたい。ここで鳴らされているのは最新のギターロックのかたちなのだと改めて感じました。It is the 21st century!

次の"Separator"もまた衝撃的でした。ここで?アンコールのこのタイミングで?イントロが聞こえてきた時当惑したのは僕だけじゃないでしょう。しかし一番ストレートにノれたのは他でもないこの曲。正直『The King Of Limbs』舐めてましたすいませんでした。

 心地よくなったところで待ってました"The National Anthem"!今回のもう1つのハイライトと言っていいでしょう。ここぞとばかりにコリンのベースが唸りまくる。触れてなかったのですが、今回のライブはステージライティングもとんでもなかった。前作のツアーからやっていたReptilia/The StrokesのPVみたいな分割画面に個々のメンバーが映される手法なのですが、そこに曲毎に様々な色のイメージがビジュアライズ。この曲では鮮烈な赤の向こうにメンバーが映しだされ、トリップしてしまいそうな気分でした。しかしこの切り札とも言える曲をアンコール最終盤に持ってくるのもニクイ。

そして再びアコギを持ち出し"Karma Police"。やっぱこの曲の叙情的な美しさに代わるものはない。ほろほろしながら合唱。名残惜しい。本当に名残惜しい。

 

2時間以上観たのにまだまだ物足りない圧巻のパフォーマンスでした。全体を通して見ても新作をベースとしつつ今までのディスコグラフィをそのステージまで引き上げ緻密に配置した完璧な構成だったと思います。帰り色々あったけどそんなことでは色褪せない素敵な体験をありがとう。

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(画像は拾い物で失礼)

 

 ◼︎おぼろげながらかたちが見えてきた『A Moon Shaped Pool』

9時頃に起床し大阪から新幹線で東京に向かう。その過程で『A Moon Shaped Pool』を4周ほどじっくり聴いて思ったのだけど、僕は、僕らは、このアルバムを誤解していたのではないか。トムのソロ2枚目『Tomorrow's Modern Boxes』でもそうなのだが、どうもパッと聴いた印象での驚きが欠けていたように思っていた。RADIOHEADといえばいつだって音楽を極限まで追求した革新的なサウンドを用意してくるものなのだけど、今作はそういう意味では「あれ?」って思っていた。それは正しかったのか?いや、まったくの間違いだった。前日のライブを経て聞こえてくる音は全く違うものだった。東京への期待は否が応にも高まる。

 

◼︎8/21 東京編〜過去と現在の交錯〜

幕張会場マリンステージ。前日同様15分ほど押してはじまるRADIOHEAD(そもそもサカナクションの大掛かりなステージからあの時間でセットし直すのは無理な話では…)。しかしやはり"Burn The Witch" のはじまりは凄い。「え?はじまってんの?」と言ってしまいそうな緩やかになだれ込んでくる音楽を認識した頃には完全にRADIOHEADの空間に包み込まれているのだ。続く"Daydreaming"は一見ライブ2曲目としては静かすぎる曲に思える。しかしこの曲も"Pyramid Song"や"Exit Music"のように内在されているパワーがある。会場を静かに緩やかに、それでも確実に温めるパワーがある。今思うとこの配置はかなり絶妙だ。

さらに "Decks Dark""Desert Island Disk"。余談だけど、今回のツアーTシャツではdifferent types of love(Desert Island Disk)、why should I be good if you're not?(Ful Stop)、the future is inside us(The Numbers)と、彼らにしては珍しく歌詞を前面にフィーチャーしたデザインとなっていてびっくり。どれほど彼らの意向が入ってるのかは知らないけど、歌詞に目を向けてくれという意志の表れであろうか?

それにしても"Ful Stop"はタフな曲。ピリピリとした緊張感を極限まで張り詰めさせてから続く"2+2=5"の後半で一気に爆発させる大掛かりなスタイルには脱帽するしかない。それはそうと相当なレア曲のはずの"Airbag"をやってくれるのはやはり驚き。 田中宗一郎氏(the sign magazine)も言ってたけどRADIOHEADがそれだけ日本のことを特別に思ってくれてるという事実にとても嬉しくなります。続く "Reckoner"もある種ハイライトと言っていいかもしれない。途中パーカッションが止まった時の本当に時間が止まったような感覚は忘れられません。

そしてまさかの"No Surprises"RADIOHEADの美メロ曲といえばこの曲ってくらいの超有名曲なだけあって、会場もセンチメンタルな雰囲気に包まれ思い思いのシンガロング。もうとっくのとうに思ってるけど、改めてこの場にいられてよかったなあと思いました。

さらにジョニーのドラムが荒々しい意味不明曲"Bloom"に続いて"Identikit""The Numbers"。やはり『A Moon Shaped Pool』からの曲で気になるのはストリングスパートをどう置き換えていくのかというところなのですが、"The Numbers"の後半のピアノとストリングスの掛け合い部分がギターに置き換えられていたのは、ぴったりはまりすぎてて爆笑してしまいました笑

そして『Hail To The Thief』からトムのフェイバリット(?)"The Gloaming"。アルバムの中では比較的地味な曲なのですが、ライブで輝く曲です。前日の"Separator"もだけど、過去作からの曲はその当時タイムリーに響いた曲よりはキャリアを通して普遍的に響く曲が選ばれている感じがするのが印象的です。お次はRADIOHEAD的キラーチューン"The National Anthem"。前日書いたから割愛するけど、この曲のテンションはヤバすぎるでしょ笑

続いてトムダンスが有名な"Lotus Flower"。前回のツアーよりも音圧抑えめで全体の流れに馴染むような音だったように思う。その分緊張感をつくって迎えたのは"Everything In Its Right Place"。待ってました。この流れはしばらく彼ら最大の武器になるのではないでしょうか。この曲からの元祖トムダン "Idioteque"での爆発力は凄い。セットリスト中の各所に見られる、何曲も使って会場の雰囲気を作っていくやり方は熟練の技を感じますね。テンションを上げきったところで本編終了。

 

さて前日は"Exit Music"をここぞというタイミングで披露したアンコール1曲目。何から始まるのかと期待は高まりますが、聞こえてきたのはあのギターフレーズ。"Let Down"でした。冷静に観たいなーと思ってた僕ですがさすがに堪えきれずボロボロに噎び泣きながらシンガロング。センチメンタルになるなと言われても無理ってもんです。わりとグダグダした演奏でしたがそんなの関係ない。最後のフレーズyou'll know where you areが胸に沁みますね。

めちゃくちゃセンチメンタルになった流れで『A Moon Shaped Pool』から"Present Tense"。"True Love Waits"を別としたら新作で随一の美しいメロディを持つ曲なので、ここで聴けてよかった。ジョニーちょっとうるせえなと思ったけどそこもご愛嬌笑 エドやコリンのパーカッションも一見「いる意味あんの?」って感じなんですが、あれのおかげで曲の広がりが生まれるんですよね。

お次は貫禄の"Nude"。コリンのベースやっぱカッコいい。RADIOHEADの中でも屈指の印象的な歌詞(don't get any big ideas they're not gonna happen / you'll go to hell for what your dirty mind is thinking)を持つこの曲ですが、シンガロングになるでもなく聴き入っていました。

そしてここからはあまりよく覚えていません。アルペジオのイントロが鳴った時は一瞬"My Iron Lung"に聞こえて(それはそれで聴きたかったけど) 反応が遅れたのですが、ついにきました"Creep"。会場が一番待ち望んでいたであろうこの曲が鳴り出してからはもう本当に現実なのか疑わしくなるような異様な雰囲気に包まれていました。シンガロングといえばDon't Look Back In Anger/Oasis(ピースフル!)やSeven Nation Army/The White Stripes(あのリフ合唱するの超楽しい)が印象的だったんですが、この曲のシンガロングはどの曲とも全く違うかなり異様なものでした。ピースフルとか幸せとか楽しいとかテンション上がるとか、そういう感じではなく、会場にいる誰もがこの曲に投影している自己像をトムのボーカルに、ジョニーのギターに、それぞれぶつけていた、そんなシンガロングでした。この経験はもう一生できないかもしれない。貴重な体験でした。

 しかし一番の驚きは次の"Bodysnatchers"。正直"Creep"に関してはおそらくやるだろうと思っていました。でもやるなら最後だろうと思っていたので、まだ続きそうな雰囲気とトムが持ち出したSGを見て「まさか!まさか!!」と当惑しっぱなし。そしてあのイントロ。この瞬間の歓声はこの日一番だったのではないでしょうか。僕は全身が脱力して腰を抜かしそうになってしまいました。そこからはまさに夢心地。なんてバンドなんだRADIOHEAD。"Creep"で終わってれば大団円だけどなんだか予定調和な感じがあったのですが、そうはしない。流石です。

そして本当の締めは"Street Spirit"。2日通して『The Bends』からの唯一の選曲です。この曲がはじまった瞬間誰もがこれが最後だと思ったのではないでしょうか。思えば彼らのキャリアを通してこの曲ほど最後に相応しい曲はありません。この日の思い出を噛み締めるように魂を愛で満たしながらしみじみと聴いていました。


演奏が終わった後、会場に花火が上がり堂々のフィナーレ!時間が微妙だったので写真を撮ってる人を横目にそそくさと会場を抜けたのですが、去り際に耳をかすめたSEのStarman/David Bowieがとても印象深かったです。

多少チグハグしてたけど会場の雰囲気に合わせて柔軟に編成したセットリスト、もはや特別な曲ではなくなった"Creep"、そこに彼らから僕らへの愛を感じると同時に、本当に長い間活動してきたバンドなんだとしみじみ思いました。ありがとうRADIOHEAD

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◼︎つまるところ『A Moon Shaped Pool』とは

今回は過去の曲もかなりやりましたが、やはり核となっていたのは『A Moon Shaped Pool』です。今回のアルバムはRADIOHEAD史上初めて、起承転結でいうところの「結」といえるアルバムだったんじゃないでしょうか。きっと前回までのツアーで同じように過去の曲を沢山やっても今回よりずっとチグハグしていたことだと思います。

過去に立ち返ろうという意志は、例えば「ジュークボックスに合わせて歌え(Burn The Witch)」「もう僕に飽きたならどうぞ楽しい時間を(Decks Dark)」「僕を戻してくれ(Ful Stop)」等、歌詞の中にもなかば皮肉めいた表現であらわされているように思います(和訳は日本盤 中村明美氏)。

でも今回のライブは粉川しの氏(ロッキンオン)も言っていたように『Kid A』以降とかそんな区切りがなくなった、キャリアすべてを包括したライブだったように思います。それができたのはやはり『A Moon Shaped Pool』がさりげなくも確実にキャリア全体を包み込んだ快作だったからと言えるでしょう。

 そういう意味で、今回のライブは『A Moon Shaped Pool』の意義を世界に問いかける極めて大きな実験の場だったとも言えます。それはもしかしたら必ずしも身を結んではいないかもしれません。RADIOHEADのファン層はなかなか特殊で、死ぬほど好きな人ととりあえず聴いてる人の比率が他のバンドと大きく違うような気がします。今回はフェスなことも相まってとりあえず聴いてる層が大好き層を越えてくる過渡期だったといえるでしょう(Twitterで「これだけ熱狂しても誰とも感情を共有しないところが稀有なところでありそれ故に世界中で愛されてる」みたいに書いたけど、単純にノリが違ったという部分も否定できない)。

それは少し寂しい事実ではありますが、僕を含め多くのファンにはちゃんと届いたはずです。彼らもそれはわかってるんじゃないでしょうか。そういうのも織り込み済みで「今現在のRADIOHEAD」はこういう感じなんだと僕らも彼らも納得できた場だったかと思います。むしろ今回もとんでもなかったのに次の逆襲がどういうものになるのか楽しみで仕方ない笑 あ、個々人としてのライブ体験を否定したいのではないのでご安心を。これあんま言及したくなかったけど思ってる人絶対一定数いるから一応。

まあ「結」とは言いましたが彼らがこれからどこに向かっていくのかは誰にもわかりません。もしかしたらこれは新たな「起」なのかもしれない。今後の彼らに思いを馳せつつ、この文章の締めといたしましょう。

 

◼︎大阪と東京

少し追記。2日間を通してかたちの違ったセットリストを披露してくれたRADIOHEAD。大阪のみ観た人の「Creep聴きたかったー!」という声をかなり聞きましたが、大阪が劣ったものかといったら全然そんなことはなく、むしろ完成度で言えば大阪のほうが上だったと思うので安心してください。というか悔しさがあるのはそれでいいと思う。両会場行った僕ですら「あれも聴きたかった!」って曲は挙げだしたらキリがないし、「大満足だった!これで十分!」ってなってもつまらないでしょ?

 この悔しさは彼らから僕達への最後のプレゼントなのだと思う。こんだけセトリ変えるのを追っかけて世界中周ってもいいし、また来る時に思いを馳せてもいいし、どうするかはit's up to you。彼らはそういうことが言いたいんだと思う。だから何年後かまた会場で会いましょう。楽しみにしてます!では!

(don't get any) Big Ideas

新しくブログをはじめてみた。

今までブログは10以上やっていたのだけど、どうも飽き性なものでなかなか続かなかった。なので今回はテーマも更新期間も何も決めずに、とりあえず何か書く場所として置いておくことにした。やっぱり何か書いていないと落ち着かない部分はある。

 

基本的に音楽の話ばかりになるだろうし、僕のsoundcloudの音源を貼って解説を入れるってのがメインの使い方になるだろうとは思う。だからミュージシャンTextureのオフィシャルブログとでも思ってもらえればいい。ただ、他にもとりとめのないことを色々書くと思う。過去に書いた記事を再編集して載せるなんてこともあるかもしれない。

 

ブログタイトルはNude/Radioheadの歌詞から。「だいそれたことを考えるなよ」という自分への自戒の意味と、僕が考えてて楽しいことが誰かにとってのBig Ideasになればいいなという意味を込めて使わせてもらった。よくある曲名の中で()使うのはこういう意図なのかは知らんが僕にとってそうだからそれでいい。

 

では。なんしかよろしく。待っててね。