(don't get any) Big Ideas

音楽周りのあれこれかれこれ

和訳と考察 Paranoid Android / Radiohead

youtu.be

 2017年のグラストンベリー。ライティングやばすぎない?笑

youtu.be

Please could you stop the noise, I'm trying to get some rest
From all the unborn chicken voices in my head
その音を止めてくれないか
頭の中から今にも生まれてきそうな臆病な喚き声から逃げて休みたいんだ

What's that...?
(I may be paranoid, but not an android)
What's that...?
(I may be paranoid, but not an android)
なんだっていうんだ
(僕は妄想気質なのかもしれないけどアンドロイドじゃない)
なんだっていうんだ
(僕は妄想気質なのかもしれないけどアンドロイドじゃない)

When I am king, you will be first against the wall
With your opinion which is of no consequence at all
僕が王様ならあんたを真っ先に磔にする
あんたの意見なんて全く何ももたらさないんだから

What's that...?
(I may be paranoid, but no android)
What's that...?
(I may be paranoid, but no android)
なんだっていうんだ
(僕は妄想気質なのかもしれないけどアンドロイドじゃない)
なんだっていうんだ
(僕は妄想気質なのかもしれないけどアンドロイドじゃない)

Ambition makes you look pretty ugly
Kicking and squealing gucci little piggy
You don't remember
You don't remember
Why don't you remember my name?
Off with his head, man
Off with his head, man
Why don't you remember my name?
I guess he does....
野心まみれのあんたは醜くみえる
甲高い声でグッチ好きの子豚のようだ
覚えていないんだ
あんたは覚えていない
なぜ僕の名前を覚えていないんだ
奴の首を刎ねろ
奴の首を刎ねろよ
なぜ僕の名前を覚えていないんだ
だって奴なら…

Rain down, rain down
Come on rain down on me
From a great height
From a great height... height...
Rain down, rain down
Come on rain down on me
From a great height
From a great height... height...
Rain down, rain down
Come on rain down on me
雨よ降れ 雨よ降れ
さあ 雨よ降れ 僕に降り注げ
遥かなる高みから
遥かなる高みからさ
雨よ降れ 雨よ降れ
さあ 雨よ降れ 僕に降り注げ
遥かなる高みから
遥かなる高みからさ

That's it, sir
You're leaving
The crackle of pigskin
The dust and the screaming
The yuppies networking
The panic, the vomit
The panic, the vomit
God loves his children, God loves his children, yeah!
それだけだよ
あんたは置き去りにする
豚の皮のひび割れや
塵や叫び声や
ヤッピーのネットワークなんかや
狂気と吐き気も
狂気と吐き気すらも
神は神の子らを愛す 神は神の子らを愛すんだろ、なあ?

 

単語
paranoid:偏執病的
android:人造人間
何か自分のものではないような考えに悩まされてはいるけど、僕は僕であり作られたものではないってことかな。極めて人間らしい偏執のせいでロボットなんじゃないかという妄想にとりつかれるのはとても皮肉。
consequence:結果、影響

kicking:すごい、イキイキとしている
squeal:キーキーいう音、甲高い声、悲鳴
rain down:雨よ降れ。reign down(支配してくれ)がかかってるんじゃないかな。
great height:遥かなる高み、天上

crackle:ひび割れ、ばちばちいう音
yuppie:知的職業に就いているエリートのこと

 

ロックの最高峰『OK COMPUTER』は最早ロックなのかもよくわからないとこまでいっていて、それを象徴するような曲。ミュージックビデオは歌詞の内容を象徴的に表している。

パラノイドに関しての歌だけど、歌詞の内容もかなり誇大妄想的でよくわからんことを歌っているような感じ。僕はこの歌詞は社会に対することでもあるけど、同時に神に対するものだと思っていて。

とっても妄想的な自分の性質を呪っていて、神に救いを求めるのだけど(rain down)、どこにどう存在してるのかもよくわからない神に対する恨み辛みも募るばかり。「野心まみれの〜」のくだりは、当然人間の醜さについてだけど、こんな世界を造った神に対する被害妄想もあるのかと思う。

「覚えていない〜」のくだりは、創造者たるあんた(神)が僕のことを何も気にかけないのはどうかしてるってことかな。「僕が王様なら〜」「奴の首を刎ねろ」にも独善的な妄想気質が見て取れる。

「雨よ降れ」以降は、こんな世界(the dust &〜のような混沌として行き場を失った世界)をどうか救ってくれ、さもなくば壊してくれ、見て見ぬ振りはやめてくれ、あんたは自分の創造物を愛するんだろ?と、さらに被害妄想を加速させて終わりを迎える。

こういう解釈でいいんかな。『OK COMPUTER』自体が全体として、パーソナルな感覚を出発点としたそれ以前の作品と比べて、妄想気味などっか漠然と飛躍したところに向かっている。次作『KID A』で”ロックは死んだ”という方向に行くわけだけど、この時点でその傾向は見て取れるかなって。では。

和訳と考察 Golden Slumbers / The Beatles

なんだこの映像。

youtu.be

Once there was a way,
To get back homeward.
Once there was a way
To get back home.
Sleep, pretty darling,
Dot not cry
And I will sing a lullaby.
かつて故郷へと続く道があった
かつて家へと続く道があった
おやすみかわいい子よ 泣かないで
子守唄を歌ってあげるよ

Golden slumbers,
Fill your eyes
Smiles await you when you rise
Sleep pretty darling
Do not cry
And I will sing a lullaby.
黄金のまどろみが君の瞳を満たし
微笑みが君の目を覚ます
おやすみかわいい子よ 泣かないで
子守唄を歌ってあげるよ

Once there was a way
To get back homeward
Once there was a way
To get back home
Sleep, pretty darling
Do not cry
And I will sing a lullaby.
かつて故郷へと続く道があった
かつて家へと続く道があった
おやすみかわいい子よ 泣かないで
子守唄を歌ってあげるよ

 

単語
once:[副詞]かつて
homeward:[副詞]故郷へ向かって
darling:[名詞]あなた、お前/素敵な人 日本語のダーリンは恋人や夫婦を思い浮かべますが、もうちょっと広い意味です。僕は大切な人のことは君と呼ぶのでyouは君と訳しました。
lullaby:[名詞]子守唄
slumber:[名詞](通例複数)眠り、まどろみ 眠りに落ちそうな時の意識が曖昧になりつつある気持ちいい感じを黄金と言っているのかな。

 

1969年のThe Beatlesのアルバム『Abbey Road』より。伊坂幸太郎原作の映画『ゴールデンスランバー』で斉藤和義がカバーしたことでも有名。『Abbey Road』後半の一連のメドレーの中の小作品という位置づけだけど、単体として取り出してもいいものだなあ。懐かしさと安心感がある普遍的なメロディはやはりビートルズならでは。映画の中で登場人物が度々”Once there was a way〜”と口ずさんでいたけど、代表曲の『Yesterday』しかり、全体の完成度もさることながら冒頭の掴みがこれ以上ないキャッチーさを持っているまさに普遍的名曲。映画の中で使われるタイミングはなかなか辛い状況ばかりなのだけど、そんな時に口をついて出てくるこの曲が心の中にある大切なものを取り戻させてくれるのだなと思う。

 

おまけ。映画のプロモーション。

youtu.be
最後にちょっと斉藤和義バージョンが流れるけど日本のミュージシャンでビートルズマインドを広く一般的に歌ってる人といえばやっぱせっちゃん。ナイスチョイス。伊坂さんあんま詳しくないけど、いい映画だったのでこちらもよかったら。

好き嫌い?良し悪し? 〜音楽を聴くこと語ること〜

先日こんなツイートをした。

 

これは音楽の話に限らず、文学でも映画でも美術でもラーメンでもいいのだが、1番わかりやすい音楽の例で。例えばこんな会話をしたことはないだろうか。

例1)

あなた「○○はこういう点が良いんだよ」

Aさん「でも私好きじゃないし。好みは人それぞれだよね」

例2)

あなた「流行りの△△たいしたことないよな」

Bさん「でも好きな人は好きなんだろうよ。好みは人それぞれだよね」

 

知るかよ。そんな当たり前のことはどうでもいいんじゃ。僕は良し悪しについての議論がしたいんじゃ。

まあ僕がかなりお喋り好きなせいもあるだろうが、こんな風に「それは好みの問題だろ」で会話がストップしてしまった経験はないだろうか。

端的に言って僕はこうなっちゃう人とはあまり音楽の話をしたくない(実際に僕とこういう会話した人も読んでると思うけど、弁解やら反省やらもあるので最後まで読んでね)。さらに言えば、こういう場で「好みの問題」とか言い出すのは、議論できない人の逃げの方便だろとすら思っていた。

 

しかしそんな時にあるフォロワーさんのブログを読んだ。ここで取り上げられているのは前述の僕のツイート。

himoderation.hateblo.jp

 

これを読んだ僕は目から鱗が落ちる思いだった。

前提を結論と取り違えている。

本当にこの一言に尽きる。他でもない僕が前提を結論と取り違えていた(というより「好みの問題」派は「好みの問題」を結論として言っているのだと思い込んでいた)。

 

■「好みの問題」

気づいてしまえば当たり前のことだった。音楽を聴く時に「好みで聴く」は一番プリミティブで自然な方法だ。例えば評論なんかの評価を受けて、あるいはそれに反して「ここが良いここが悪い」なんて聴き方をする方がよっぽど不自然で邪道ともいえる。こんなのは当たり前だ。

ただ僕からしたら(あくまで僕からしたら)、前述のAさんBさんもここを大きく取り違えているように見える。僕からしたら「好みの問題でしかないんだから良し悪しについて議論しても無駄だよ」といったような感じに映っていた。 でも「好みの問題」であることは前提であり、それでも(無駄に終わるかもしれないが)それを超えた議論をしたいというのが僕のスタンスであった。僕も知らないうちに結論付け合戦に巻き込まれてしまっていたようだ。

というか何も結論を出したいわけではない。良し悪し白黒つけたいと言っているわけではない。そんなのは無理だ。良し悪しなんてのは「ある角度から見て良い、ある角度から見たら悪い、まあ総合的に言ってこれくらい」みたいなもので個々人によってその良い悪いの配分が違うし、時代によってもひっくり返る。絶対はない。

でも音楽をはじめとした様々な表現には"語らせる作用"があると思っている。こんなにも各種の批評が存在するのはなぜか。僕みたいなブロガーが星の数ほどいるのはなぜか。"語らせる作用"があるからだ。そして音楽についてあーでもないこーでもないと答えのない議論をすることは素晴らしいことだ。話すことで自分でも全く気付いていなかった点に気付いたりもする。議論自体は答えの出ない不毛なものかもしれないが、この行為は決して無駄じゃない。人間の営みである以上、語ることまで内包した上での表現と言ってもいいかもしれない。語り合うことは本当に素晴らしい。

そこで話は戻るが「好みの問題だろ」と言われると話が終わってしまう。高名な評論家でもこの観点から切り崩すのは無理だろう。本当に話が終わってしまう。無駄と思うかもしれないが、くだらなくも素晴らしい語り合いをしようではないか!

 

さて、上記の話をまとめると以下のように分類できると思う。

1.「好みの問題」が前提であることを認識せず、語らない人。

2.「好みの問題」が前提であることを認識せず、語る人。

3.「好みの問題」が前提であることを認識した上で、語らない人。

4.「好みの問題」が前提であることを認識した上で、語る人。

 

僕が上記のツイートで問題にしていたのは1だ。ただ今までの僕は2だった。そりゃあ噛み合うわけがない。僕「これはいいもんだよ。もっと色々聴けばわかるよ」 Cさん「えー…」みたいなトンチンカンなことが起こる。こりゃあ悲惨だ。おおいに反省している。ごめんよCさん。

3はいまいちイメージできないが、静観するのもまあスタンスとしてはいいと思う。僕からしたらもったいないとは思うが、各種の表現がある中で音楽に突っ込みすぎてる僕がそう思うだけで、みんなそんなに暇じゃない。

そして僕は4でありたい。くだらなくも楽しい、無意味に思えるけど有意義な、そんな語り合いがしたい。したいのです。

 ついでに言うと絶対的な「良し悪し」ってのは僕はあると思う。というかそう思いたい。そう信じたい。それはプラトンイデアみたいな、あるんだかないんだかわからない朧げなものかもしれないが、僕のような人種は聴くにせよ観るにせよ作るにせよ、それを求めてやっているのだから、あらゆる表現においてそれはあってほしい。「絶対ねーよ」は少し寂しい。

 

■嫌いで終わらすのはちょっともったいない

ここで終わってもいいのだが少し発展させた話。「好き」には個人によっていろんな理由があると思う。とっても深い理由だったり、すごくしょーもない理由だったり。そういう話をするのもきっと楽しいけど、それはまあここではなんでもいい。問題は「嫌い」の方だ。

思うに確たる理由をもって「嫌い」と言っている人はあまりいないのではないか。もちろんよく精通したジャンルで明らかに好みに合わないものというのもあるだろうが、全く通っていないジャンルの場合それは顕著だ。見ず知らずのジャンルを嫌う(嫌うとまでは言わなくても聴かない)のは、多くの場合は「合わないから」、なぜ合わないかといったら「そのジャンルの形式や作法が全くわからないのでどういったとっかかりで聴いていいのかわからないから(これは田中宗一郎氏も似たようなことを言っていた、というかそこからの拝借)」ではないか。いや、それでも悪いとは言わないが、もったいないのではないか。

だから自分の中で「嫌い」でストップしている音楽・ジャンルがあったら見直してほしい。きっと新たな道が拓けるはずだ。僕なんかも未だによくわからないジャンルは多いが、最近はたまたまライブで観てちょーかっこよかったHIPHOP(今までほとんど聴いてこなかった)なんかを聴いている。こんなきっかけでもいい。

ちなみに門外漢のジャンルに入っていくオススメの方法は3つ。

1.ライブに行くこと。

これが一番手っ取り早い。「クラシックのコンサートに行く」でも「生演奏のジャズバーに行ってみる」でもいい。名盤5枚借りてくるでもいいが、クラシックやジャズなんかは今まで何かしらの機会で耳にしているはずだ。それで直感的に選ばなかったのだから名盤聴くよりライブに行けと言いたい。なぜライブがいいか。まず迫力が違い過ぎる。僕なんかは初めてオーケストラを観たとき「今まで認識してたクラシックとは何だったのか」くらいの衝撃を受けたものだ。そして、周りの観衆を見ていれば楽しみ方の作法が自然とわかるというのも大きい。どこで盛り上がってどこでどこで静かに聴きいるのかが手に取るようにわかる。それがわかってくると非常に面白い。だからライブに行こう!

2.同じ音楽が好きな人にオススメを教えてもらうこと。

だから語り合えと言ってるんだ。広がりができるしその友人はよりかけがえのない人になる。いいことしかないじゃないか。それから感想とかをあーでもないこーでもないと言い合ったり、じゃあこれもオススメとか言い合ってるうちに同じ墓場にでも入ってしまえばいいんだ。ただ、やはり趣向はそれぞれ違うため微妙にズレが生じるのと(そのズレはむしろ楽しむ要素とも捉えられるが)、「人が熱心に勧めてくるといまいちちゃんと聴けない」謎アレルギーを発症することがあるのがたまにキズ。あれ何なんだろうね。

3.好きなミュージシャンのルーツを探ること。

アジカンが好きなバンドにアジカンのルーツであるOasisは聴かないのかと聞いたところ、「いやアジカンだけです」みたいに返ってきたという話を聞いたことがあるが、ルーツ探りは意外と浸透していないのかもしれない。これはすごくもったいないぞ。例えばこのブログでほぼ毎回登場するRADIOHEADはロック、パンク、ダブ、レゲエ、ボサノヴァ、ジャズ、クラシック、エレクトロニカ…と多種多様なルーツを消化した音楽をやっている(それがすごいんだがその話はまた今度)。インタビューを見たり、有名なバンドなら解説本やバイオ本なんかを読めば幾つかの音楽がヒットするはずだ。それは「好きな人が好きなもの」という贔屓目もあってとても入りやすいし、その大好きなバンドへの理解もより一層深まる。悪いことなんかないぞ。さあ、やるんだ!

 こんな感じで「嫌い」で見過ごさずに色々と触れていってほしい。絶対に新たな発見があるよ。

 

■終わりに

話が大きくそれたが、各人の「好き嫌い」を尊重しつつあーでもないこーでもないと語り合っていこうという話でした。やっぱり音楽はそれそのものの素晴らしさは当然だが、語り合えるということが素晴らしい。「好きなジャケは?」「かっこいいと思うバンド名は?」なんて話題でも一晩語り明かせる。最高にくだらないけど最高に素晴らしい、そんな音楽の語らい、みんなもどう?

和訳と考察 True Love Waits / Radiohead

新作に入ってたのが最も衝撃的だった"True Love Waits"。今回はそのことをちょろっと。新作の雰囲気に合ってるのはあのかたちだけど、やっぱトムの弾き語りver.もいいよね!

 

youtu.be

 

I'll drown my beliefs
To have your babies
I'll dress like your niece
And wash your swollen feet
僕は信念を曲げてでも
君との子どもがほしい
君の姪のように着飾って
君の腫れあがった足を洗うよ

Just don’t leave
Don’t leave
ああ どこにもいかないで
どこにもいかないで

I’m not living
I’m just killing time
Your tiny hands
Your crazy kitten smile
僕は日々の暮らしを営んでるんじゃなくて
ただただ時間を潰しているだけなんだ
君の小さな手
夢中になった子猫みたいな笑顔

Just don’t leave
Don’t leave
ああ どこにもいかないで
どこにもいかないで

And true love waits
In haunted attics
And true love lives
On lollipops and crisps
本当の愛は
幽霊の出る屋根裏部屋にある
本当の愛は
ぺろぺろキャンディーやポテトチップスの中にある

Just don’t leave
Don’t leave
ああ どこにもいかないで
どこにもいかないで

 

drown:水浸しにする
niece:姪
swollen:ふくれた、腫れあがった
tiny:小さな
kitten:子猫
haunted:何かにつかれた、幽霊の出る
attic:屋根裏、屋根裏部屋
lollipop:ぺろぺろキャンディー
crisp:ポテトチップス

 

2001年のライブアルバム『I Might Be Wrong Live Recordings』より。公式に録音された音源はなく、ライブでたまにアコースティックバージョンが披露される曲(2016年『A Moon Shaped Pool』に収録)。

Radiohead流の『結婚しようよ』なのかな。正直『Kid A』以降の彼らからこんなにもパーソナルで淀みのない歌が飛び出してくるのは驚きなのだけど、何か超越的なことを言ってそうにも聴こえる彼らの人間味が感じられる名曲。

結婚したことのない僕が結婚に言及するのは笑い話なのだけど、僕なりの解釈で。

僕はなかなか神経質で頑固な人間で信条みたいなものもあるのよ。でも君と一緒になって子どもを授かるためならば、その信条を多少なりとも曲げる覚悟はあるんだ(drown、捨てるとまでは言っていないのがポイントかな)。赤ちゃんが怖がらないような格好もしよう(dress like your niece)。君が疲れたら癒そう(swollen foot)。

話は飛ぶのだけど、僕は少し勘違いしていて、結婚するためには何か諦めなければいけないものだと思っていて。ただ、近頃友達と話している中で思うことがあって、「何かを諦めたことを示してしまうと相手に重荷を背負わせてしまうことになる」ってことを思ったところで。だから、この曲も相手に言うのではなく、内なる覚悟みたいなものなんだと思う。そして"swollen foot"なんだけど、この言葉は「水膨れした」みたいな意味もあるのよね。これは言わないまでも自分の信条をdrownした僕と同様に、自分の信条をswollenさせた君もいて、お互い言わないまでもそのことをわかっていて受け入れ支え合おうみたいな感じなのかと思う。

この曲の大切なポイントが"I'm not living〜"のくだり。日々の生活に何かしらのやりがいを感じて、充実して生きているのだけど、君との生活を前にするとそんなことまったく無価値に思えてしまう、そんな微妙な心境の話だと思う。君は無邪気な気持ちを持った素敵な人(crazy-kitten smile)。そんな君と一緒になることが何にも代え難い喜びだって思える。そんな心境。

そして、本当の愛とは。幽霊の出る屋根裏部屋ってなんか実感わかないけど、洋画でよくある子ども達が親に隠れて遊んでたりするあれのことかな?キャンディーとポテトチップスは言わずもがな。小さな子ども達が楽しそうにしている姿を心底愛しいと思える、それが本当の愛なのかなって。

こんなん書くの恥ずかしいわ。

結局のところRadioheadが世界最高のバンドであり続けているのは、何も難しいことばかり言ってるんじゃなくて、こういう多くの人の心にすっと入ってくるメッセージがあるからだと思うのです。よかったらぜひ。

RADIOHEAD@Lollapalooza Berlin のセットリストを見て思ったこと

先日9/11はドイツのベルリンでロラパルーザに出演したRADIOHEAD。このセトリがすごく豪華なので少し引っ張り出して考察。

 

とりあえずそのセトリ。

f:id:dontpanic:20160912093411j:image

(Twitter @Radiohead_infoより)

 

 いやはや、ドイツでは現状1公演のみなので当たり前といえば当たり前だけど、サマソニ大阪東京のいいとこ取りという感じで。"Paranoid Android"もやってる。"Everything In Its Right Place""Idioteque""Bodysnatchers"からの本編最後に"Street Spirit"というのも凄い。ここ大盛り上がりだっただろうな。

 

さて、 サマソニとの比較も含めて今回気になったことは大きく3点。まず、"Airbag"や"Exit Music"をやっていないこと。次に"The National Anthem"をやっていないこと。そして"Creep"が再びセトリに記載されないシークレット曲となっていたこと。

 まずサマソニ大阪東京両会場でやった"Airbag"と大阪公演でやった"Exit Music"なのだけど、これは現状全22公演の『A Moon Shaped Pool』ツアーで"Airbag"5回、"Exit Music"7回と非常にレアなものとなっている。"Creep"や"Let Down"(8回)よりもレア。いやー、後述するけもこれは日本を特別に思ってくれた選曲だと思うし、今更ながら感激。ちなみに"Feral"も5回で今ツアーでは相当にレア。大阪で観ることができた人は本当によかったぞ!!

しかし驚きなのが"The National Anthem"をやらない公演があるということ。今調べてびっくりしたのですが、22公演中10回しかやってない。"Paranoid Android"(15回)の方がよっぽどやっている。"The National Anthem"といったら強烈なステージライティングとコリンのベースを中心としたグルーヴが印象に残る、サマソニのハイライトといってもいい曲。おそらく今までやった10公演全てでそういっていいであろう最強の切り札みたいな曲。それをやらない公演があるなんて。「どんだけ贅沢なバンドなんだRADIOHEAD…」と改めて感服いたしました。しっかし大阪東京両公演で観ることができたのは、実はかなり貴重な体験だったのだなあ。

そして一番気になったことは"Creep"がセトリに記載されない曲に戻っていたこと。

 f:id:dontpanic:20160912120319j:image

(setlist.fmより。@Lollapalooza Berlin)f:id:dontpanic:20160912120332j:image

(@Summer Sonic 東京)

 

サマソニ東京で"Creep"がセトリに記載されたことは話題になっていたけど、これは今後のスタンダードなのかな?と思っていた。でもどうも東京限定だったよう。これは「日本だしクリープでいいやろ!クリープ!」みたいな邪推もできるけど「せっかく東京でやるんだから13年前最高だったクリープをやろう!」みたいな好意的なものだと受け取っておこう。いやー、やっぱ特別に思ってくれているんだなあ。

ちなみに探してる中で気になったのが次の記述。

 f:id:dontpanic:20160912120352j:image(@NOS Alive! ポルトガル)

 "Million Dollar Question"(1stのボーナストラック)って。そんなんやったら興奮通り越して「何やってんだ…」ってなりますわ…

 

それにしてもツアー中固定のセットリストにせず、各国のオーディエンスに合わせたり、よかった悪かったを自己分析しながら試行錯誤を繰り返すRADIOHEADは本当に凄いなと改めて感じるよね。これこそアーティストの姿なのではないか。また会う機会が本当に楽しみになってきた!

 

それはそうとトムが「来年もライブするかも」って言ってたね。よく考えたら前回のサマソニの翌年も単独公演をしていたので、日本に来るのも普通にあり得ることなんじゃないかな!やっぱフェスもいいけど単独公演!これは俄然期待が高まりますね!またその時に会いましょう!

 

さてさてツアーセトリの考察をしてきたけどどうだっただろう。サマソニ前まではザーッと見てただけだったけど、リアルタイムで考察するのも楽しいな。残すは来月のメキシコ公演かな?

今回たくさん引用したけどsetlist.fmでセトリ見たり統計情報調べたりするの凄く楽しいし理解も深まるかと思うので興味のある方は是非やってみるといいかと。

以上setlist.fmステマ記事でした!では!

 

 

RADIOHEAD@Summer Sonic 2016 大阪 東京(8/20,21)

遅ればせながらSummer Sonic 2016 大阪 東京(8/20,21)のRADIOHEADの感想をまとめてみようかと。

結論から言ってしまうと今回のライブはとにかく凄まじかった。他の方が口々に「細かいことを挙げるまでもなくただただ圧巻のパフォーマンスだった」と言っているのを目にしたけど、まったくもってその通り。僕も分析的に色々考えるのは蛇足だろうなと思ってはいるけど、やはり観た人の想像力を刺激し色々な感情を喚起させるのがRADIOHEAD。うまい具合にまとめるのは他の方に任せるとして、今回は色々と突っ込んで書いてみる。長いよ。ごめんよ。

 

 『A Moon Shaped Pool』ってどういう作品?

前置きをもう少し。4年振りの来日、13年振りのサマソニというのもあって「あの曲やるのかな!」みたいな盛り上がり方が目立っていたけど、忘れてはならないのがこのライブは5月にリリースされた最新作『A Moon Shaped Pool』のツアーであること。そして、形式上は最新作ツアーを名乗りつつも最新作はほどほどに過去のヒットメドレーをするバンドとは違い、彼らのセットリストは最新作が核となったものであること。これはサマソニ前までのツアーセトリを見てもわかる。

さてさて『A Moon Shaped Pool』はどういうアルバムだったのか。正直に告白してしまうと、僕個人としては幾分か予習不足だったのもあって「アンビエントで美しい、でもいまいち捉えどころのないアルバム」という印象だった。ただ、無機質で非人間的な音源がフィジカルな躍動感ある表現に昇華された『Kid A』しかりスタジオワークとライブワークを繰り返す試行錯誤の中出来上がった大傑作『In Rainbows』しかり、彼らの音楽はスタジオ音源とライブが揃ってこそ真価を発揮するもの。どんな変化があるだろうかとわくわくしながら当日を迎えた。

 

8/20 大阪編〜現在進行形のRADIOHEAD

はやく本編入れよという声が聞こえてきそうだけどいよいよ本編。8/20大阪舞洲会場オーシャンステージ。時刻は19:15頃。サウンドチェックが押していたのもあり、各所で「まだか!まだなのか!」と言わんばかりの声が湧き上がり、異様な緊張感が漂う中ついにRADIOHEADが登場!

緊張感そのままになだれ込むように始まったのは"Burn The Witch"。『A Moon Shaped Pool』のオープニングトラックだ。この曲の大胆なストリングスアレンジがバンド編成だとどうなるのか?というのは誰もが注目する所だけど、そこは流石のRADIOHEAD。ギターギャンギャンに決めてきた。浮遊感のある入りから、BメロのSing a song on the jukebox that goes(ここ合唱にならないの僕はちょっと不思議)で鳴り響くギター、そしてBurrrrrrn the wiiiiiiiiiiitchで一気に緊張感がパーンと弾けた時の鼓動の高鳴りといったら。改めて彼らは緻密な作品づくりが凄いだけではない、生粋のライブバンドなのだと確信。

ここから"Ful Stop"までの5曲は『A Moon Shaped Pool』から。この曲順は今ツアーを通してほぼすべてそうなのだけど、彼らの「どうだ!これが最新の俺達だ!ついてこれるか!」とでも言わんばかりの気迫が感じられた。おそらく今作を聴いて「あんまロックじゃねえな」と感じていた人は多いことであろう。しかし音源ではなりを潜めていたグルーヴ感や曲全体のダイナミズムが存分に発揮された演奏を観て、「これが現在進行形の彼らのロックか!」とゾクゾク。

新作から存分に披露した後(Ful Stopで切るのは洒落なのかなんなのか)は"2+2=5"。あの怪しげなイントロから徐々に高まっていく熱気がBecause!!で弾ける。You have not been paying attention! paying attention! paying attention! ジリジリ高めてパーンと爆発するのは"Creep"から続く彼らの技だけど、それが一番端的に示されているのがこの曲。会場の熱気は急上昇!

そしてまさかまさかの"Airbag"。いやイントロカッコよすぎだろ。かつて時代を貫いた重厚なギターアンサンブルは今現在もなお鳴り響いている。おお、これがRADIOHEADだ。続いて"Reckoner"。"No Surprises"や"Let Down"のような美メロが光る曲だけど、今までのリズム的冒険を踏まえたビートが核となる曲。こういう曲にのれるというのも変だけど何とものれる。美しい曲の流れが続く中で満を持して"Pyramid Song"。この曲はあえて何かを言う必要もない。ただただ美しい。全体を貫く一見不規則なリズムピアノから醸し出される荘厳な雰囲気が会場を包む。ああ、美しい。

今回の一番の驚きは"Bloom"をはじめとする前作『The King Of Limbs』からの曲の変貌具合。おそらく彼らのキャリアで一番とっつきづらくてよくわからんアルバムだけど、ライブでの爆発力、大化け具合は『Kid A』並みかそれ以上。彼らも前回のツアーを経て完全に身体に馴染んだのか、これでもかと叩きつけてくる音、音、音。なんだよあのジョニーのドラム。

流れはそのままに再び『A Moon Shaped Pool』から"Identikit""The Numbers"。音源で聴いていた限り抑揚があまりないノッペリした曲が多い印象だったけど、やはりライブで観るとジリジリ盛り上げていくダイナミズムがよく感じられる。ジョニーのギターが入るところの「満を持して来た」って感じの重みが単純なオルタナロック的「静→動」の構成とも違っていて面白い。

そして再び『The King Of Limbs』から"Feral"。音源ではそれほど意識しなかったことだけど、本作のリズムは複雑過ぎる。意味がわからない。のろうとしたら逆にのれないわけがわからんビートを刻んでいる。しかしながらその複雑怪奇なビートに身体を委ねていると不思議と身体が動く。本当に意味がわからない。そしてリズムの怪奇さといったら次の"Arppegi/Wired Fishes"も引けを取らない。何種類ものパターンの違うアルペジオから浮かび上がってくるビート。こんなビートの刻み方あるんかよ。

そして今回のハイライトと言ってもいい"Everything In Its Right Place"からの"Idioteque"。"Everything〜"といえば『Kid A』以降のRADIOHEADのライブにおいて最も重要な曲。かつては10分近い時間をかけて会場を染め上げていた彼らの真骨頂と言ってもいい曲だけど、今回は強引にも"Idioteque"への助走として使うという贅沢さ!ジリジリと高められてきた温度が"Idioteque"へと昇華された時のある意味爽やかな気分は忘れられない。それからは彼らのお家芸に身を任せるだけ。

興奮冷めやらぬ中本編の締めは"There There"。いや、このタイミングでステージ前方にタムが用意された時点で多分そうなんだろなとは思ったのだけど、やっぱこの曲はゾクゾクするね。『Kid A』『Amnesiac』を経てロックへの回帰を鳴らした曲(この曲のリフが超カッコいいのは意外と話題にならない)だけど、それでも「単純に回帰なんてするかよ」というダイナミックな曲。ドラムのフィルを中心に全体でリズムを刻む様は壮観です。最高の流れだ…

 

本編が終わってひと段落。しばらくして再登場したトムはアコギを持っていたので「このタイミングでアコギってなんだ?」と少し困惑していた中で始まったのは"Exit Music"。ここでこれかよ。なんてものを持ってくるんだ。しめやかに始まったアンコールですが、この曲が内包している熱量は彼らの楽曲の中でも随一。この流れはニクイぞRADIOHEAD

会場が張り詰めたエモーションに包まれたところであのキレのいいイントロが鳴り響く。"Bodysnatchers"だ。この曲もリフがカッコいい曲(というかよく弾きながら歌えんな)だけど、"There There"同様単純なギターロックとは言いがたい。ここで鳴らされているのは最新のギターロックのかたちなのだと改めて感じました。It is the 21st century!

次の"Separator"もまた衝撃的。ここで?アンコールのこのタイミングで?イントロが聞こえてきた時当惑したのは僕だけではないだろう。しかし一番ストレートにのれたのは他でもないこの曲。正直『The King Of Limbs』舐めてましたすいませんでした。

 心地よくなったところで待ってました"The National Anthem"!今回のもう1つのハイライトと言っていいだろう。ここぞとばかりにコリンのベースが唸りまくる。触れてなかったけど、今回のライブはステージライティングもとんでもなかった。前作のツアーからやっていたReptilia/The StrokesのPVみたいな分割画面に個々のメンバーが映される手法なのだけど、そこに曲毎に様々な色のイメージがビジュアライズ。この曲では鮮烈な赤の向こうにメンバーが映しだされ、もうほんとトリップしてしまいそうな気分。しかしこの切り札とも言える曲をアンコール最終盤に持ってくるのもニクイ。

そして再びアコギを持ち出し"Karma Police"。やっぱこの曲の叙情的な美しさに代わるものはない。ほろほろしながら合唱。名残惜しい。本当に名残惜しい。

 

2時間以上観たのにまだまだ物足りない圧巻のパフォーマンス。全体を通して見ても新作をベースとしつつ今までのディスコグラフィをそのステージまで引き上げ緻密に配置した完璧な構成だったと思う。帰りに例のシャトルバス事件に巻き込まれたり色々あったけどそんなことでは色褪せない素敵な体験をありがとう。

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(画像は拾い物で失礼)

 

 おぼろげながらかたちが見えてきた『A Moon Shaped Pool』

9時頃に起床し大阪から新幹線で東京に向かう。その過程で『A Moon Shaped Pool』を4周ほどじっくり聴いて思ったのだけど、僕は、僕らは、このアルバムを誤解していたのではないか。トムのソロ2枚目『Tomorrow's Modern Boxes』でもそうなのだが、どうもパッと聴いた印象での驚きが欠けていたように思っていた。RADIOHEADといえばいつだって音楽を極限まで追求した革新的なサウンドを用意してくるものなのだけど、今作はそういう意味では肩透かしを食らったというか「あれ?」って思っていた。それは正しかったのか?いや、まったくの間違いだった。前日のライブを経て聞こえてくる音は全く違うものだった。後で改めて実感することなのだが、いささか地味にも聴こえた本作は現在の彼らから世界への回答なのだ。東京への期待は否が応にも高まる。

 

8/21 東京編〜過去と現在の交錯〜

幕張会場マリンステージ。前日同様15分ほど押してはじまるRADIOHEAD(そもそもサカナクションの大掛かりなステージからあの時間でセットし直すのは無理な話では…)。しかしやはり"Burn The Witch" のはじまりは凄い。「え?はじまってんの?」と言ってしまいそうな緩やかになだれ込んでくる音楽を認識した頃には完全にRADIOHEADの空間に包み込まれているのだ。続く"Daydreaming"は一見ライブ2曲目としては静かすぎる曲にも思える。しかしこの曲も"Pyramid Song"や"Exit Music"のように内在されているパワーがある。会場を静かに緩やかに、それでも確実に温めるパワーがある。今思うとこの配置はかなり絶妙だ。

さらに 不穏な美しさが会場を包む"Decks Dark"、トラディッショナルな雰囲気漂う"Desert Island Disk"と続く。ここら辺はアンビエントな感触をバンド編成で創り出す最新の彼らのスタイルが遺憾なく現れている。余談だが、今回のツアーTシャツではdifferent types of love(Desert Island Disk)、why should I be good if you're not?(Ful Stop)、the future is inside us(The Numbers)と、彼らにしては珍しく歌詞を前面にフィーチャーしたデザインとなっていてびっくり。どれほど彼らの意向が入ってるのかはわからないが、歌詞に目を向けてくれという意志の表れであろうか?彼らの思惑通りかここらへんの言葉はトムが歌うのに合わせて口をついて出てきたものだ。

それにしても"Ful Stop"はタフな曲。ピリピリとした緊張感を極限まで張り詰めさせてから続く"2+2=5"の後半で一気に爆発させる大掛かりなスタイルには脱帽するしかない。それはそうと相当なレア曲のはずの"Airbag"をやってくれるのはやはり驚き。 田中宗一郎氏(the sign magazine)も言ってたけどRADIOHEADがそれだけ日本のことを特別に思ってくれてるという事実にとても嬉しくなる。続く "Reckoner"もある種ハイライトと言っていいかもしれない。途中パーカッションが止まった時の本当に時間が止まったような感覚は忘れられない。

そしてまさかの"No Surprises"RADIOHEADの美メロ曲といえばこの曲というほどの超有名曲なだけあって、会場もセンチメンタルな雰囲気に包まれ思い思いのシンガロング。もうとっくのとうに思ってるけど、改めてこの場にいられてよかったなあと思った。

さらにジョニーのドラムが荒々しい意味不明曲"Bloom"に続いて小気味いいビートが鳴り響く"Identikit"、ピアノとバンドが絡み合う"The Numbers"。やはり『A Moon Shaped Pool』からの曲で気になるのはストリングスパートをどう置き換えていくのかというところなだけど、"The Numbers"の後半のピアノとストリングスの掛け合い部分がギターに置き換えられていたのは、ぴったりはまりすぎてて爆笑してしまった笑 しかし一方でこれは引き算の美学というのだろうか。例えば後から思えばちょうどこのライブ当日リリースされたFrank Oceanの『Blonde』にも通ずるチルでアンビエントな感じ。彼らはそこにクラシカルなモチーフも取り入れ荘厳さを醸し出している。自分達の音楽を貫きつつも敏感に現行のトレンドに呼応する姿勢は流石だ。

そして『Hail To The Thief』からトムのフェイバリット(?)"The Gloaming"。アルバムの中では比較的地味な曲だけど、ライブでとっても輝く曲。前日の"Separator"もだけど、過去作からの曲はその当時タイムリーに響いた曲よりはキャリアを通して普遍的に響く曲が選ばれている感じがするのが印象的。お次はRADIOHEAD的キラーチューン"The National Anthem"。前日書いたから割愛するけど、この曲のテンションはヤバすぎるでしょ笑

続いてトムダンスが有名な"Lotus Flower"。前回のツアーよりも音圧抑えめで全体の流れに馴染むような音だったように思う。その分緊張感をつくって迎えたのは"Everything In Its Right Place"。待ってました。この流れはしばらく彼ら最大の武器になるのではないだろうか。この曲からの元祖トムダンス "Idioteque"での爆発力は凄い。セットリスト中の各所に見られる、何曲も使って会場の雰囲気を作っていくやり方は熟練の技を感じさせる。テンションを上げきったところで本編終了。

 

さて前日は"Exit Music"をここぞというタイミングで披露したアンコール1曲目。何から始まるのかと期待は高まりまくる中、聞こえてきたのはあのギターフレーズ。"Let Down"。冷静に観たいなーと思っていたがさすがに堪えきれずボロボロに噎び泣きながらシンガロング。センチメンタルになるなと言われても無理ってもんですわ。わりとグダグダした演奏だったけどそんなの関係ない。最後のフレーズyou'll know where you areが胸に沁みる。

そんなめちゃくちゃセンチメンタルになった流れで『A Moon Shaped Pool』から"Present Tense"。"True Love Waits"を別としたら新作で随一の美しいメロディを持つ曲なのでここで聴けてよかった。ジョニーちょっとうるせえなと思ったけどそこもご愛嬌。 エドやコリンのパーカッションも一見「いる意味あんの?」って感じなんだけど、あれのおかげで曲の広がりが生まれるんだよね。

お次は貫禄の"Nude"。コリンのベースやっぱカッコいい。RADIOHEADの中でも屈指の印象的な歌詞(don't get any big ideas they're not gonna happen / you'll go to hell for what your dirty mind is thinking)を持つこの曲だけど、シンガロングになるでもなくただただ聴き入っていた。

そしてここからはあまりよく覚えていない。アルペジオのイントロが鳴った時は一瞬"My Iron Lung"に聞こえて(それはそれで聴きたかったけど) 反応が遅れたのだけど、ついにきました"Creep"。会場が一番待ち望んでいたであろうこの曲が鳴り出してからはもう本当に現実なのか疑わしくなるような異様な雰囲気に包まれていた。シンガロングといえばDon't Look Back In Anger / Oasis(ピースフル!)やSeven Nation Army / The White Stripes(あのリフ合唱するの超楽しい)が印象的だったのだけど、この曲のシンガロングはどの曲とも全く違うかなり異様なもの。ピースフルとか幸せとか楽しいとかテンション上がるとか、そういう感じではなく、会場にいる誰もがこの曲に投影している自己像をトムのボーカルに、ジョニーのギターに、それぞれぶつけていた、そんなシンガロングだった。この経験はもう一生できないかもしれない。貴重な体験だったなあ。

 しかし一番の驚きは次の"Bodysnatchers"。正直"Creep"に関してはおそらくやるだろうと思っていたけど、やるなら最後だろうと思っていたので、まだ続きそうな雰囲気とトムが持ち出したSGを見て「まさか!まさか!!」と当惑しっぱなし。そしてあのイントロ。この瞬間の歓声はこの日一番だったのではないだろうか。僕は全身が脱力して腰を抜かしそうになってしまいっていた。そこからはまさに夢心地。なんてバンドなんだRADIOHEAD。"Creep"で終わってれば大団円でもなんだか予定調和な感じがあったのだけどそうはしない。流石だよ。

そして本当の締めは"Street Spirit"。2日通して『The Bends』からの唯一の選曲。この曲がはじまった瞬間誰もがこれが最後だと思ったのではないだろうか。"Karma Police"締めも最高だけど、思えば彼らのキャリアを通して『The Bends』の最後を飾るこの曲ほど最後に相応しい曲はない(他のアルバム最終曲は中盤でやるかまったく披露されていない)。この日の思い出を噛み締めるように魂を彼らへの愛で満たしながらしみじみと聴いていた。


演奏が終わった後、会場に花火が上がり堂々のフィナーレ!時間が微妙だったので写真を撮ってる人を横目にそそくさと会場を抜けたけど、去り際に耳をかすめたSEのStarman / David Bowieがとても印象深かったなあ。

多少チグハグしてたけど会場の雰囲気に合わせて柔軟に編成したセットリスト、もはや特別な曲ではなくなった"Creep"、そこに彼らから僕らへの愛を感じると同時に、本当に長い間活動してきたバンドなんだとしみじみ思ったよ。ありがとうRADIOHEAD

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つまるところ『A Moon Shaped Pool』とは

今回は過去の曲もかなりやったけど、やはり核となっていたのは『A Moon Shaped Pool』。正直いってしまうとまだ全貌がつかめた感じがしない。それは例えば何年後かにあるであろう次作のリリース時にやっと答え合わせができるような、そんな感じなのかもしれない。ただ、そんな中でもおぼろげながら感じたのだが、今回のアルバムはRADIOHEAD史上初めて、起承転結でいうところの「結」といえるアルバムだったんじゃないだろうか。きっと前回までのツアーで同じように過去の曲を沢山やっても今回よりずっとチグハグしていたことだと思う。

過去に立ち返ろうという意志は、例えば「ジュークボックスに合わせて歌え(Burn The Witch)」「もう僕に飽きたならどうぞ楽しい時間を(Decks Dark)」「僕を戻してくれ(Ful Stop)」等、歌詞の中にもなかば皮肉めいた表現であらわされているように思う(和訳は日本盤 中村明美氏)。皮肉、正直過去の曲をやり過ぎるのは革新を続けてきた彼らを観るにあたって必ずしも嬉しいことばかりではなかったりもする。

でも今回のライブは粉川しの氏(ロッキンオン)も言っていたように『Kid A』以降とかそんな区切りがなくなった、キャリアすべてを包括したライブだったように思える。それができたのはやはり『A Moon Shaped Pool』がさりげなくも確実にキャリア全体を包み込んだ快作だったからと言えるだろう。

 そういう意味で、今回のライブは『A Moon Shaped Pool』の意義を世界に問いかける極めて大きな実験の場だったともいえる。それはもしかしたら必ずしも身を結んではいないかもしれない。RADIOHEADのファン層はなかなか特殊で、死ぬほど好きな人ととりあえず聴いている人の比率が他のバンドと大きく違うような気がして、今回はフェスなことも相まってとりあえず聴いてる層が大好き層を越えてくる過渡期だったといえる(Twitterで「これだけ熱狂しても誰とも感情を共有しないところが稀有なところでありそれ故に世界中で愛されてる」みたいに書いたけど、単純にノリが違ったという部分も否定できない)。

それは少し寂しい事実ではあるけど、僕を含め多くのファンにはちゃんと届いたはず。彼らもそれはわかってるんじゃないだろうか。そういうのも織り込み済みで「今現在のRADIOHEAD」はこういう感じなんだと僕らも彼らも納得できた場だったかと思う。むしろ今回もとんでもなかったのに次の機会がどういうものになるのか楽しみで仕方がない笑 あ、個々人としてのライブ体験を否定したいのではないのでご安心を。これあんま言及したくなかったけど思ってる人絶対一定数いるから一応。

まあ「結」とは言ったものの彼らがこれからどこに向かっていくのかは誰にもわからない。もしかしたらこれは新たな「起」なのかもしれない。今後の彼らに思いを馳せつつ、この文章の締めといたしましょう。

 

大阪と東京

少し追記。2日間を通してかたちの違ったセットリストを披露してくれたRADIOHEAD。大阪のみ観た人の「Creep聴きたかったー!」という声をかなり聞いたけど、大阪が劣ったものかといったら全然そんなことはなく、むしろ完成度で言えば大阪のほうが上だったと思うのでご安心を。というか悔しさがあるのはそれでいいと思う。両会場行った僕ですら「あれも聴きたかった!」って曲は挙げだしたらキリがないし、「大満足だった!これで十分!」ってなってもつまらないでしょ?

 この悔しさは彼らから僕達への最後のプレゼントなのだと思う。こんだけセトリ変えるのを追っかけて世界中周ってもいいし、また来る時に思いを馳せてもいいし、どうするかはit's up to you。彼らはそういうことが言いたいんだと思う。だから何年後かにまた会場で会おうぜ。楽しみにしてる!では!

(don't get any) Big Ideas

新しくブログをはじめてみた。

今までブログは10以上やっていたのだけど、どうも飽き性なものでなかなか続かなかった。なので今回はテーマも更新期間も何も決めずに、とりあえず何か書く場所として置いておくことにした。やっぱり何か書いていないと落ち着かない部分はある。

 

基本的に音楽の話ばかりになるだろうし、とは思う。ただ、他にもとりとめのないことを色々書くと思う。過去に書いた記事を再編集して載せるなんてこともあるかもしれない。

 

ブログタイトルはNude/Radioheadの歌詞から。「だいそれたことを考えるなよ」という自分への自戒の意味と、僕が考えてて楽しいことが誰かにとってのBig Ideasになればいいなという意味を込めて使わせてもらった。よくある曲名の中で()使うのはこういう意図なのかは知らんが僕にとってそうだからそれでいい。

 

では。なんしかよろしく。待っててね。