(don't get any) Big Ideas

音楽周りのあれこれかれこれ

和訳と考察 There There. (The Boney King of Nowhere.) / Radiohead

youtu.be

 

In pitch dark
I go walking in your landscape
Broken branches
Trip me as I speak
真っ暗闇の中 君の風景に向かって歩いていく
ちょうど今木の枝に足を取られたよ

Just 'cause you feel it
Doesn't mean it's there
Just 'cause you feel it
Doesn't mean it's there
感じるからといってそこに在るとは限らない
感じるからといってそこに在るとは限らない

There's always a siren
Singing you to shipwreck
(Don't reach out, don't reach out
Don't reach out, don't reach out)
Steer away from these rocks
We'd be a walking disaster
(Don't reach out, don't reach out
Don't reach out, don't reach out)
君を破滅に導く警告音で辺りはいっぱいだ
(近づくなよ 近づくなよ 近づくなよ 近づくなよ)
そんなものに近づいてはいけない 僕らも歩く災害になってしまうかもしれない
(近づくなよ 近づくなよ 近づくなよ 近づくなよ)

Just 'cause you feel it
Doesn't mean it's there
(Someone on your shoulder
Someone on your shoulder)
Just 'cause you feel it
Doesn't mean it's there
(Someone on your shoulder
Someone on your shoulder)
There there
感じるからといってそこに在るとは限らない
(誰か肩に乗ってるぞ 誰か肩に乗ってるぞ)
感じるからといってそこに在るとは限らない
(誰か肩に乗ってるぞ 誰か肩に乗ってるぞ)

There there
まあまあ…

Why so green and lonely?
And lonely, and lonely?
Heaven sent you to me
To me, to me?
どうしてそんなに青ざめていて
寂しそうなの
君は天から僕への
贈り物なのに

We are accidents waiting
Waiting to happen
We are accidents waiting
Waiting to happen
僕らは災い
今にも起こりそうだ
僕らは災い
今にも起こりそうだ

 

単語
pitch dark:真っ暗闇
landscape:風景、景色
branch:枝
trip:つまづかせる
as I speak:(even as we speakで)ちょうど今私たちが話している間に
この場合独り言を言いながら歩いているんでしょうか
just because... doesn't mean〜:...だからといって〜とは限らない
洋楽で慣用表現覚えるとスムーズだし記憶に残りやすいのでオススメです。
shipwreck:難破、難破船
reach out:手を伸ばす、手を差し出す
there, there:まあまあ、よしよし(慰めの言葉)

 

2003年の『Hail To The Thief』から。
この曲はかなり歌詞の内容に沿ったミュージックビデオなので、観ながら聴くとわかりやすい。

「感じるからといってそこに在るとは限らない」が印象的だけど、これってつまり「見たり聞いたりしただけの情報は本質を突いているとは限らない」っていう情報社会への警鐘なんだと僕は捉える。そう考えるとサブタイトルの"The Boney King of Nowhere. =どこにもいない骨ばった王様"も示唆的だ。誰と戦ってるの?って場面を見ることはよくあるのではないだろうか。

今の時代は、この曲が発表された2003年よりはるかに情報へのアクセスが容易になった。TwitterなどのSNSが発展し、自分から発することも誰にでも簡単にできる。だからこそ今一度この曲のメッセージに立ち返ってみよう。

ネットを見ていると、気分を害するニュースや"これはおかしい"という論調に溢れている(siren)。また、それらに対する誰かの考え方に納得がいかないこともある。それらはそれ自体として悪いものとは限らないのだけど、もしそういった情報を一面的になぞって自分のものになった気がして、それで発信を行おうものなら、僕らも簡単に他人を傷つけてしまうおそれがある(walking disaster, accident)。

そうならないためにも、簡単に鵜呑みにしないこと、或いは最初から信用できないものには近づかないこと(don't reach out, stay away from〜)が必要になってくる。

あらゆる情報が簡単に手に入りすぎるがゆえに、僕らは感化されて気難しい顔をしてしまうことがある(green & lonely)。でも、あなたが本当はそんなに気難しい人じゃないことは直接会って知っている僕にはわかるんだよ(heaven sent you to me)。会ったことのないあなたもきっと暖かい人なんだと思う。ただ、みんな情報社会に毒されてしまっているだけなのかもしれない。冷静に想像を働かせて、感情的にならずにみんなを思いやれたらなあと思う。僕自身そこらへん弱いし。まあまあ、落ち着いていこうよってね。

今一度この曲のメッセージに耳を傾けてみてはどうだろうか。よかったらぜひ。