(don't get any) Big Ideas

音楽周りのあれこれかれこれ

和訳と考察 Dreaming Of You / The Coral

youtu.be

It's up in my heart when it skips a beat 
Can't feel no pavement right under my feet
心臓が鼓動を刻んでいる時僕の心はどうなっているんだろう
僕の立っている場所は何も舗装されていないようだ

Up in my lonely room
When I'm dreaming of you
Oh what can I do?
I still need you, but
I don't want you now
1人で部屋にこもって
君のことを夢見る時
ああ どうしたらいいんだ
未だに君のことを必要としてるけど
今や全然求めちゃいない

When I'm down and my hands are tied
I cannot reach a pen for me to draw the line
From this pain I just can't disguise
It's gonna hurt but I'll have to say goodbye
落ち込んでもうだめだって時
線を引くペンが見当たらない
この痛みからは逃れられない
辛いだろうがお別れを言わなくちゃいけない

Up in my lonely room
When I'm dreaming of you
Oh what can I do?
I still need you, but
I don't want you now
1人で部屋にこもって
君のことを夢見る時
ああ どうしたらいいんだ
未だに君のことを必要としてるけど
今や全然求めちゃいない

Up in my lonely room
When I'm dreaming of you
Oh what can I do?
I still need you, but
I don't want you now
1人で部屋にこもって
君のことを夢見る時
ああ どうしたらいいんだ
未だに君のことを必要としてるけど
今や全然求めちゃいない

 

単語
What’s up with〜:〜はどうしたのか
pavement:歩道
my hands are tied:もうだめだ
disguise:偽装させる、隠す、偽る

 

“現代のビートルズThe Coralの代表曲。

やっぱり耳に残るのは「未だに君のことを必要としてるけど 今や全然求めちゃいない」。彼女との別れの歌かなと思う(別れの歌ばっか取り上げてんな)。

彼女のことを夢見るほどに考えていて、彼女は生活上のことだとか、或いは精神的な面でとても支えになっている。だけど、もはや気持ちの面では全く向いていない。そんな葛藤の歌かなって。

彼女との問題は彼女と解決したいけど、結局のところ気持ちが向いていないので自分一人で考えてしまい行き場所を見失っている(no pavement, can’t reach a pen)という感じかな。彼女が色々な面で支えになってるのは事実なので別れるのは辛い(it’s gonna hurt〜)けど、このごちゃごちゃしてて、ともすれば彼女を欺いているような感じ(this pain)を取り除くのはもはや彼女と一緒にはできない。もう別れるしかないのではないか。

恋愛関係とは面倒なもので、言葉は悪いけど何か打算的な感情だけで付き合ってしまうこともできると思う。でもそれだけではうまくいかない。この曲の主人公は良くも悪くも真面目に向き合う性質なので、”これは好きだから付き合っているんではないんじゃないか”という疑問から逃れられない。そして、この曲では一切言及されていない彼女の考えや気持ちも当然大切なもので、そこらへんの釣り合いがうまくとれていないとどうにもならんのかなって。

僕の持論だけど、恋愛って僕のものでも彼女のものでもなく、僕らのものなのよね。1人で結論を出すものなのかなって疑問がある。この後彼女に何かしら伝えるタイミングがあるのだろう。そこでお互いわだかまりなく別れるのか、混沌とした状況に陥るのか、或いはちゃんと伝えられずなあなあに進むのかはなんとも言えない。とはいえ彼女のことが何も書かれていない以上この曲からは先のことは何も読み取れず、ただただ現在悩んでる”僕”の心境に焦点が当てらている。どういう方向であれ気持ちを晴らしてほしいなって。

僕に恋愛語らせるな笑

The Coralが現代のビートルズと呼ばれるのはリバプール出身だからというこじつけもあると思うけど、様々な音楽性をポップに昇華していることと、この曲のような極めてパーソナルな一点に焦点を当てて1つの作品に仕上げられる部分なのかなと思う。よかったらぜひ。

和訳と考察 The Eraser / Thom Yorke

Atoms For Peaceのライブver. カッコいい!!

youtu.be

Please excuse me but I got to ask
Are you only being nice because you want something?
My fairy tale arrow pierces
Be careful how you respond, 'cause you'd not end up in this song
I never gave you an encouragement
And it's doing me in, doing me in, doing me in, doing me in
ちょっといいかな 聞きたいことがあるんだけど
君は何かが欲しいから
親切に振る舞っているだけなの?
僕のおとぎ話の矢が突き刺さる
だから答え方には気をつけて
この歌だけでは終わらないから
君を励ましたんじゃない
そして僕がやられる やられる やられる やられる

The more you try to erase me
The more, the more
The more that I appear
Oh the more, the more
The more you try the eraser
The more, the more
The more that you appear
君が僕を消そうとすればするほど
もっと もっと
僕はあらわになっていく
ああ もっと もっと
君が消そうとすればするほど
もっと もっと
君自身があらわになっていく

You know the answer so why do you ask
I am only being nice
Because I want someone, something
You're like a kitten with a ball of yarn
And it's doing me in, doing me in, doing me in, doing me in
君は答えを知ってるから聞かなくていいだろう
僕も何かが 誰かが欲しいから
親切に振る舞っているだけ
君は毛玉にじゃれつく子猫みたい
そして僕がやられる やられる やられる やられる

The more you try to erase me
The more, the more
The more that I appear
Oh the more, the more
The more I try to erase you
The more, the more
The more that you appear
No, you're wrong, you're wrong
You're wrong, you're wrong
You're wrong, you're wrong
You're wrong
君が僕を消そうとすればするほど
もっと もっと
僕はあらわになっていく
ああ もっと もっと
僕が君を消そうとすればするほど
もっと もっと
君はあらわになっていく
ああ 君はおかしい 君はおかしい
おかしい おかしい
おかしい おかしい
おかしいのに

 

単語
fairy tale:おとぎ話
arrow:矢
pierce:刺す、貫通する
encouragement:激励
do 人 in:自殺する、だめにする、やっつける
The more〜, the more… :〜すればするほど…になる
a ball of yarn:毛玉

 

2007年のトムヨークのソロ作品『The Eraser』の表題曲。

Twitterとかでもよく思うことだけど、自分と他人の差異に対してどう振る舞うかということを考えさせられる内容。

僕も、そしておそらく君も何かを求めて何かをしている。自分がそうなんだから他人を責められたものではないけど、何か気に入らない。そこで君を否定しようとするのだけど、どうにもうまくいかない。

嫌いな人とか考えって誰にでもあるものだけど、同族嫌悪な場合も多いんじゃないかなって思う。同じような感覚を共有している相手だからこそ、細かな差異、特に自分だったら絶対にそんなことしないと思うようなところが気になるのかなって。でもだからと言って否定しにかかると色々なリスクがある。それは単に言い争いが面倒とか外面が悪いって話ではなく、心の中で葛藤が起こって収拾がつかなくなる類のこと。だから、そう簡単には否定できない。

僕は常々「僕の中で正解であることは君の中で正解であるかどうかに一切関与しない」みたいに考えてて、僕の考えをどう思われようがどうでもいいし、君の考えを正そうなんて気持ちも微塵もない。とりあえずスタンスとしてはそう考えてる。ただ、それでもどうしようもなく気になっちゃったり。これはかたちをかえた恋なんじゃないかな。

 

妙な締め方したな。

トムソロはバンドより細かな言及が多くて、よりトムヨークのパーソナルな部分に差し迫っている印象。もちろんRadioheadもいいけど、ソロもなかなか捨てたもんじゃないので、よかったらぜひ。

考察と和訳 Killer Cars / Radiohead

こんな映像あったっけ?笑

youtu.be

Acoustic ver.も最高。ギタージャカジャカしてるだけなのにこの表現力よ。

youtu.be

 

Too hard on the brakes again
What if these brakes just give in?
What if they don't get out of the way?
What if there's someone overtaking?
I'm going out for a little drive
And it could be the last time you see me alive
There could be an idiot on the road
The only kick in life is pumping his steel
また急ブレーキだ
ブレーキがイカれたらどうしよう?
奴らが避けなかったら?
誰かが追い越してきたら?
ちょっとドライブに出かけるよ
もしかしたら生きて会うのは最後になるかも
路上にはどうかしてる奴らがいるから
唯一の生き甲斐がソレな奴らが

Wrap me up in the back of the trunk
Packed with foam and blind drunk
They won't ever take me alive
'Cause they all drive
僕を縛ってトランクに突っ込めよ
泡を吹いた前後不覚な酔っ払いと一緒にさ
奴らは僕を生きては帰さないだろう
だって奴らは…

Don't die on the motorway
The moon would freeze, the plants would die
I couldn't cope if you crashed today
All the things I forgot to say
I'm going out for a little drive
And it could be the last time you see me alive
What if the car loses control?
What if there's someone overtaking?
高速で死ぬなよ
月も凍りつき 木々も死んでる
君が今日いなくなったら耐えられない
言い残したことがあるのに
ちょっとドライブに出かけるよ
もしかしたら生きて会うのは最後になるかも
コントロールがきかなくなったら?
誰かが追い越してきたら?

Wrap me up in the back of the trunk
Packed with foam and blind drunk
They won't ever take me alive
'Cause they all drive killer cars
僕を縛ってトランクに突っ込めよ
泡を吹いた前後不覚な酔っ払いと一緒にさ
奴らは僕を生きては帰さないだろう
だって奴らが乗っているのは人を殺すものだから

Wrap me up in the back of the trunk
Packed with foam and blind drunk
They won't ever take me alive
'Cause they all drive killer cars
they all drive killer cars
they all drive killer cars
僕を縛ってトランクに突っ込めよ
泡を吹いた前後不覚な酔っ払いと一緒にさ
ああ 奴らは僕を生きては帰さないだろう
だって奴らが乗っているのは人を殺すものだから
奴らが乗っているのは人を殺すものだから
奴らが乗っているのは人を殺すものだから

 

Radioheadの曲は往々にしてそうだけど、ネガティブ思考で被害者意識が強い。
とはいえ自転車に乗ることや電車が通過することですら結構怖い僕にとっては共感する部分がとても多かったり。何が怖いってそこに悪意があろうがなかろうが判断を誤れば一瞬で認識すらできずに死ぬこと。車はそういうことが起こり得るものの最たる例だろう。
ただ、この曲はそういったモヤモヤをかき消すような清々しいロックナンバー。その中で僕に響くのは中盤の2節

”君が今日いなくなったら耐えられない 言い残したことがあるのに”

本当にそう。不意に訪れるそういう瞬間以上に僕を困惑させるものはないので。そして、誰かにとって僕もそうだったとしたら、あんまり自分を省みない行動はできないなあって思うわけですよ。無理せず頑張っていこう。またね。

和訳と考察 Fake Plastic Trees / Radiohead

youtu.be

Her green plastic watering can
For her fake Chinese rubber plant
In the fake plastic earth
That she bought from a rubber man
In a town full of rubber bands
To get rid of itself
彼女は緑色のプラスチック製のじょうろで
中国製の造花に水をやる
このまがい物のプラスチック製の星で
それはゴム製の男から買ったもの
ゴム製の考えで満たされたこの街で
結局は棄てられるもの

It wears her out, it wears her out
It wears her out, it wears her out
それが彼女をすり減らす それが彼女をすり減らす
それが彼女をすり減らす それが彼女をすり減らす

She lives with a broken man
A cracked polystyrene man
Who just crumbles and burns
He used to do surgery
For girls in the eighties
But gravity always wins
彼女はイカれてしまった男と暮らしている
愚かなポリスチレン野郎だ
ボロボロになって燃え尽きちまってる
彼は外科医をしていて
80年代は女の子に需要があったものだが
結局重力には敵わない

It wears him out, it wears him out
It wears him out, it wears
それが彼をすり減らす それが彼をすり減らす
それが彼をすり減らす それが彼を…

She looks like the real thing
She tastes like the real thing
My fake plastic love
But I can't help the feeling
I could blow through the ceiling
If I just turn and run
彼女は本物みたいに見える
本物みたいな味わいがある
僕の偽物のプラスチック製の愛
でも気持ちを抑えることができない
僕が振り返り走り出すのなら
天井さえぶち抜けそうだ

And it wears me out, it wears me out
It wears me out, it wears me out
それが僕をすり減らす それが僕をすり減らす
それが僕をすり減らす それが僕をすり減らす

If I could be who you wanted
If I could be who you wanted all the time
All the time
All the time
君の望む僕であれたら
いつだって君の望む僕であれたら
いつだって
いつだって

 

単語
watering can:じょうろ
rubber:ゴム rubber、plastic、fake、polystyreneと繰り返されますが、すべて「偽物、まがい物」の象徴として捉えます。
get rid of:処分する、取り除く、免れる
1番Aメロは馬鹿長いけど単なる名詞節
(Her〜) watering can (for〜)(that〜)(in〜)(to〜)
こいつが彼女をすり減らす…
Aメロの内容に彼女/彼/僕がすり減らされる構造。
wear out:すり減らす
cracked:砕けた、愚かな
crumble:ボロボロになる、ボロボロにする
surgery:外科医
gravity:重力 この言葉は「本物、逆らうことのできない大きな流れ」の象徴として捉えます。
can’t help〜:〜を(〜することを)抑えられない
celing:天井

 

90年代のロックの金字塔『The Bends』より。超レア曲だったものの近頃はライブで度々披露されるようになってファンもびっくりしたこともタイムリーな名曲だ。最初にWikipediaから背景を引用。曰く、”歌詞はロンドンの開発地区カナリー・ワーフの変遷を動機とする消費社会への批判を、恋愛感情を軸にする普遍的なバラードに落とし込んだもので、多義的。” カナリー・ワーフってのは第二次大戦後廃墟となった街が金融街として再興を遂げるけど、90年代にまた廃れた場所みたい。その文脈で考えてみる。

例のごとくミュージックビデオを観ると、トムはじめとしたメンバーがスーパーマーケットみたいなカラフルなところでカートで運ばれていて、他にも様々な人物が象徴的に現れる。極め付けはその誰もが最後はその場から出て行くこと。誰も彼もが様々なものを消費し、それが本当に欲しいのかもよくわからず消費し、その姿はともすれば自分達が消費されているかのような、そんな印象を受ける。

歌詞に目を向けてみると、繰り返し繰り返し「まがい物」について言及されている。何か価値のあるものを消費しているようでいて、実は「まがい物」に消費されている(wear out)。しかし本物(gravity)は確かに存在していて、時折その存在に気づかされてどうしようもなく気が滅入ってしまう(wear out)。そんな自分や社会を憂いているのだと捉える。

ただ、この曲の真価は後半の「it wears…」から。

「彼女は本物みたいに見える」 彼女が本当に本物なのかはわからない。ただそんなことはどうでもよくて、自分の愛情さえまがい物のように感じてしまう(my fake plastic love)僕にとってでさえも、感情を高ぶらせて離さない。そんな彼女は本物に違いない。一緒にいたい。でもこんなまがい物の僕にそんなことが許されるわけが…

悲しい曲や…

消費社会アンチというテーマを持ちながらも普遍的な人間関係の歌にできるあたりは流石。よかったらぜひ。

和訳と考察 Pyramid Song / Radiohead

youtu.be

I jumped in the river, what did I see?
Black-eyed angels swam with me
A moon full of stars and astral cars
And all the figures I used to see
僕は川に飛び込んだ そこで見たのは
一緒に泳いでくれた黒い目の天使達
月と満天の星々 キラキラ輝く車
懐かしいものばかりだった

All my lovers were there with me
All my past and futures
And we all went to heaven in a little row boat
There was nothing to fear and nothing to doubt
僕の恋人達も一緒に泳いでくれて
僕の過去も未来もそこにはあって
小さな船を漕いでみんなで一緒に天国へ行ったんだ
恐れることも疑うことも何もなかった

I jumped into the river
Black-eyed angels swam with me
A moon full of stars and astral cars
And all the figures I used to see
僕は川に飛び込んだ そこで見たのは
一緒に泳いでくれた黒い目の天使達
月と満天の星々 キラキラ輝く車
懐かしいものばかりだった

All my lovers were there with me
All my past and futures
And we all went to heaven in a little row boat
There was nothing to fear, nothing to doubt
僕の恋人達も一緒に泳いでくれて
僕の過去も未来もそこにはあって
小さな船を漕いでみんなで一緒に天国へ行ったんだ
恐れることも疑うことも何もなかった

There was nothing to fear, nothing to doubt
There was nothing to fear, nothing to doubt
恐れることも疑うことも何もなかった
恐れることも疑うことも何もなかった

 

単語
astral:星のような
row boat:こぎ船

  

2001年の作品『Amnesiac』から。
英語としてはそんなに難しいものではないけど、内容はとても抽象的。songfacts.com(このサイトをよく参照しています)によると、トムは「スティーブンホーキング博士は、時間は完全に循環しているもので、僕が仏教に感じたことと同じ。ピラミッドソングは、すべては循環の中にあるという歌。」というようなことを言っている。

物理学や仏教には疎いのでそこらへんに対する言及は避けるけど、歌詞の内容は非常に超然的で終末的ながらとてもピースフルで、なにごとに対する敵対心も感じさせない。特に”恋人達”なんかは過去の色々を連想させるけど、いい思い出であれ悪い思い出であれ今の自分の構成要素なことは間違いないし、循環という大きな概念の前では些細ないざこざなどどうでもいいといったところだろうか。おおらかな曲だなと思う。

シングルで出されたとは思えないほど歌詞も音楽も挑戦的なものだけど、リズムピアノと後半のドラムが一見不規則でよくわからないながら深い深いグルーヴを刻むとても美しい曲。よかったらぜひ。